吉祥寺の地域内アンテナ書店 ブックス・ルーエ

ブックス・ルーエ

以前このブログでも紹介記事を書いた、井の頭公園検定通称「いのけん」ですが、今年度の試験の受付が9月18日に開始されました。受付当日には公式サイトが一時的に繋がりにくくなっていたので、注目度もまあまあ以上にあるのでしょう。実際の受験者数がどうなるのか、2017年の開園100周年を過ぎても吉祥寺に根付くのか、予想する楽しみもあります。
いのけんの公式問題集は6月に発刊され、吉祥寺の本屋には専用コーナーを設けてPRする所がいくつかありました。その中でも店の一番目立つところに積んでPRをしていたと思えるのが、サンロードの本屋、ブックス・ルーエです。今回はこの本屋の吉祥寺における立ち位置について少し考えてみたいと思います。

ブックス・ルーエ外観

みせがまえ。写真の中央にいのけんの特集棚が

ブックス・ルーエの開店は平成3年。同じ場所にあった喫茶店ルーエを閉め、がらっと業種を変えてのリニューアルオープンでした。喫茶店時代以来のフロア面積をもち、地上地下合わせて4階建てという造りは、まさに中規模書店といった感じの規模です。開店当時の吉祥寺はまだデパート撤退の波が訪れておらず、駅ビルも含めた商業ビル内の大規模書店がかなり存在しました。そうした中で、中規模書店ルーエの新規開店は無謀とも思われましたが、時代が流れ書店も淘汰される中、現在までしたたかに生き残り続けています。その大きな要因としては、記事のタイトルにあるとおり、吉祥寺の地域内アンテナ書店としてのポジションを確立できた、ということが挙げられるでしょう。

地域内アンテナ書店という、なかなか耳慣れない言葉は、私の勝手な造語です。念頭に置いているのは、以前概説記事を書いたアンテナショップの中のさらなる一ジャンル、地域内アンテナショップです。
地域内アンテナショップとは、観光地の玄関口に出店するその地域の隅から隅までの名物をカバーした店のことで、観光PR上ひとくくりにされる地域が広域にわたり、また域内の交通アクセスが必ずしも良くない場合に出現するようです。代表的な地域内アンテナショップとして、岐阜県高山市の飛騨高山アンテナショップ「まるっとプラザ」が挙げられ、この店舗は日本一広い面積をもつ高山市の、奥まった地域について紹介するという主旨になっています。
特筆すべき点は、地域のハブとなる立地における、より深い地域情報の提供が旅行者、在住者それぞれに訴求するコンテンツだということで、これから地域を巡る地図が欲しいという旅行者のニーズと、地域に目を当てたい、地域内の何かめぼしい話題が知りたいという在住者のニーズは、相補的に店の賑わいをつくりだします。アンテナショップの名前通りの、何か情報が手に入るというイメージ。これは集客の大前提であるとともに、上手く回った場合の爆発性を秘めているのです。

ブックス・ルーエの場合は、サンロードという比較的アクセスが良く人通りが見込める場所で、域外者へのための吉祥寺情報と、在住者のための情報を発信しているというイメージを作り出し、賑わいにつなげています。それをどのように行っているのか、といえば、店の間口を狭めアーケードに面する壁面を棚として使い、雑誌の吉祥寺特集号などを並べた立ち読みコーナーを用意しています。

立ち読みコーナー

立ち読みコーナー

ワゴンに積まれた特集号

ワゴンに積まれた特集号

地方のアーケードなどでは、アーケードが商店街として機能せず、実質屋根のついた通り道に成り下がってしまっている例が良くありますが、ブックス・ルーエの場合は店の前を通りかかる人々が一番知りたい情報を無料で発信することで、人の流れに滞留をつくり、逆に宣伝につなげるという構図をつくっています。しかも、雑誌の吉祥寺特集などは頼まずして毎月組まれるものですから、ルーエが提供する情報の品替えに頭を悩ませる必要もありません。

勿論この立ち読みコーナーは、ルーエのアンテナ書店戦略の一端に過ぎません。冒頭に挙げたような、吉祥寺発のイベントの積極的プッシュ、吉祥寺の作家・出版社のプッシュなどで、吉祥寺を代表する書店としての地位を万全たるものにしています。

吉祥寺に初めて訪れる人に、新鮮な驚きとハマるきっかけを与えるものは、老舗有名店より、はたまた入れ替わりの激しい新規店より、アーケードの真ん中に不思議に鎮座する、キン・シオタニの絵を看板としたこの店なのではないでしょうか。どうして街の本屋さんがこの立地でやっていけるのかという小さな疑問、こういったひっかかりが集まって吉祥寺の引力を為しているのです。

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コメント

  1. […] ブックス・ルーエの紹介記事で、地域内アンテナ書店という概念を唱えました。地域を代表する人通りの多い場所で地域情報を無償提供することにより、域外在住者の欲しがるその地域の足がかりとなる情報、地域在住者が欲しがるその地域の新しい情報、どちらのニーズにも訴求し賑わいを作り出すという戦略の書店のことを、アンテナショップの一形態、地域内アンテナショップに絡めた造語でした。 […]

  2. […] 以前紹介記事を書きました、吉祥寺サンロードの名物書店ブックス・ルーエ。最近地階テナントの入居者募集を出していましたが、100均ショップのCanDoが入ることとなったようです。 […]