ドン・キホーテ吉祥寺店と西荻窪「泥棒市場」

つい先日南口無印良品跡地にオープンし、吉祥寺界隈の住人の話題をさらっていったドン・キホーテ吉祥寺店。地元民のブログでの反応などを見ますと、吉祥寺に”そぐわない”という意見が多いことに気付かされます。なにしろドン・キホーテの店舗イメージといえば、ロードサイドにおける深夜営業。車での訪問客が多く、付近住民との騒音や治安の悪化についてのトラブルも聞こえがちです。加えて、車の日常的利用が少なく、ものの数分歩かぬうちに静かな住宅街に入り込んでしまうような吉祥寺での出店は、その戦略的意図すら量り難く、少々不気味に思われている節もあるでしょう。

ドン・キホーテが吉祥寺への出店で何を目論んでいるのか、かねてより存在する店舗で参考になるケースはあまりないように思われます。一方、2013年度後半の出店店舗に限ると、吉祥寺店と同じような、首都圏一等地への出店ケースが多数あることに気付かされます。実はこの首都圏一等地出店戦略は、吉祥寺店を含む12店舗の出店を皮切りとした、2013年後半のドン・キホーテの新戦略の一端にあたるのです。つまり現在のところ、吉祥寺店の出店がどう転ぶのかはまだ不明、この出店自体が今後を占う試金石であると言える状態のようです。

ドン・キホーテの先駆け 西荻窪「泥棒市場」

首都圏一等地店舗のうちの一つという見方以外に、吉祥寺店の出店を一種の原点回帰と見る向きもあります。というのも、ドン・キホーテ創業者の安田隆夫氏が小売店舗を最初に開いたのが、吉祥寺の一駅となりの西荻窪でした。そして、その店舗での発見が、ドン・キホーテの後々の営業形態のヒントとなり、経営的大成功に繋がったと、安田氏の著書などでは語られているのです。

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西荻窪の店舗の名前は、「泥棒市場」。場所は現在の一圓上荻店があるところです(リンク先記事は三鷹店についてですが)。

一圓上荻店

小売店の立地としては、駅からも遠く、いかにも厳しそうな場所です。1978年にこの不便な場所にオープンした「泥棒市場」が、何故大成功を収めたのか。またその成功がどうドン・キホーテの営業形態へと繋がったのか。上記リンクの本『情熱商人』からのエピソード引用となりますが、少し見てみましょう。

「泥棒市場」からドン・キホーテへ

まず、「泥棒市場」という店がどのようなお店だったかということですが、そもそも別業界の営業職であった安田氏が、小売業の素人ながらオープンした個人商店だったようです。取扱商品はバッタ品や、金融処分品など。商品の陳列もノウハウというものがなかったので、店内に積めるだけ積む、いわゆる圧縮陳列を行っていたようです。
開店以来店は全くの閑古鳥状態で、スタッフも安田氏一人の状態、夜遅くまで店前で値付け作業を行っていたところ、それを珍しがって通行人が声を掛けてきたといいます。そうした時間帯に店にやってくる客は、アルコールが入っていることも多く、自然と財布の紐も緩んだとか。
コンビニエンスストアも進出していない時代、ナイトマーケットの可能性に気付いた安田氏は、深夜営業を店の売りと決め、それがのちのちメディアにも取り上げられ、泥棒市場は一躍有名店となったそうです。
安田氏はその着眼点を、のちに大型チェーン店のドン・キホーテとして活かそうとします。ところが、スタッフには圧縮陳列のような泥棒市場での陳列ノウハウがうまく伝わらない。そこで、思い切って現場の社員に陳列の裁量権を与えて、出来高評価で競わせるように変えたそうです。これが功を奏し、現在のドン・キホーテのような、各店舗が陳列に個性を持ち、買い物に訪れる客に楽しいと感じさせるような存在感をもったブランドが出来上がったそうです。

ドン・キホーテ吉祥寺店は、「泥棒市場」になる?

これらのエピソードから想像できるのは、1978年当時の西荻窪にも酔っぱらいや変わった人が多かったのだ…ということではなく(笑)、ドン・キホーテにとっての、新たにクリティカルなノウハウ発掘の可能性が、泥棒市場創業の地の隣駅である、吉祥寺への出店で期待されているのではないかということです。
西荻窪と吉祥寺には、カルチャーの違いがかなりあるものの、一般消費者とは異なった時間帯に動く、遊民的存在が多いということは共通していそうです。吉祥寺駅から5分とかからない立地で24時間営業を行うことで、そうした潜在的需要を見越した売り方というものが、スタッフ主導の売り場作りという制度の中から発案されれば、という、ある種泥棒市場の成功体験の追体験をスタッフに期待しているのかもしれません。

吉祥寺店の店頭には、熱帯魚の水槽がディスプレイされているのですが、飲み屋の閉店後に追い出され始発を待つ客を、水槽の煌煌とした灯で集めているのかもしれませんね。

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コメント

  1. […] ライブハウス”新宿ロフト”が、1970年代には西荻窪にあり、”西荻窪ロフト”として営業していたという事実は、西荻通の方には常識であるかもしれません。ロフトの名称自体は1971年に千歳烏山にオープンした”烏山ロフト”が発祥ということになりますが、こちらは音楽喫茶であったようで、現在の新宿ロフトのようなライブハウス形態ができたのは、1973年にオープンした西荻窪ロフト以降ということになるようです。ドンキホーテの前身泥棒市場しかり。西荻窪は意外に色々なものの生誕地となっています。 […]

  2. 山下蒼天 より:

    ぬいぐるみ売ってますか⁉

    • admin より:

      品代わりもするので最新の状況は未確認ですが、以前行ったときにはバタ臭いぬいぐるみが陳列されていたような気がします。
      ドンペンぬいぐるみの話ではないですよね?そちらは未確認。