00年代初頭から後半にかけて、ご当地検定と呼ばれる地方自治体・商工会が主導する検定試験の一大ブームが起こります。最初期のご当地検定としてwikipediaなどに挙げられているのは、2003年9月から行われた”博多っ子検定”です。しかしながらこちらはご当地での会場受験は主ではなく、インターネット上でいつでも受験できるサービスであることを売りにしており、運営主体がオンライン診断系サービス等を展開する企業というものでした(現在は休止されており、サイトアドレスも無効になっています)。次に挙げられる2003年11月開始の東京シティガイド検定は、東京商工会議所が主催の一翼を担うご当地検定でしたが、観光ガイドの養成を主眼とした検定であり、のちのちの地域振興のためのご当地検定ブームの嚆矢となったとは考えられません。
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そこで、ブームの火付け役をある一点に求めるのならば、2004年12月に第一回が実施された、京都・観光文化検定、通称京都検定が挙げられるのではないかと思われます。
京都検定は第一回で1万人近い受験者を集め、参加者の多くは京都の観光業とは縁もゆかりも無い全国の京都フリークでした。青森県を除いた46都道府県からの参加があったということですから、広報という意味だけではなく、実際の経済効果としても計算が可能な大規模なイベントの様相です。
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京都検定の成功ののち、各地方自治体の宣伝広報活動として雨後の筍のように検定が乱立します。しかしながら10年代に入ると、次第に参加者の減少、経済効果の実状判明を理由に中止される検定が現れ始め、ブームは急速に終わりを告げます。昨今のご当地検定事情としては、自治体・商工会肝煎りの振興事業というよりは、企業やNPOが主催するよりニッチな分野の検定が中心で、公式問題集を地域のベストセラーにして採算をとるといった目論見のものが主流であるように思われます。
そういった昨今のご当地検定事情ですが、2012年12月に、井の頭公園検定、通称いのけんなるニッチな検定が行われるとのニュースがありました。
ご当地検定ブームの終焉は、見方によっては検定にする題材の枯渇ととることもできます。しかしながら、ブームに便乗した地方の検定採材ラッシュがあったことをよそに、都会をその対象とした検定というのはながらく空白地帯であったきらいがあります。それが検定のニッチ化、小規模採算化という性質の変化に伴い、都会も検定の題材として脚光を浴びるようになってきました。たとえば2008年に第一回が行われた多摩・武蔵野検定、通称タマケンが題材とするのは、ただのベッドタウンとして地域外の人間には観光価値がまるで無いように見える多摩地方です。この検定のキャッチコピー「地元を愉しも。タマケン。」というものが、実に検定のターゲット層を端的に表していますね。
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いのけんはこのタマケンに4年遅れての開始です。憧れの街として選ばれ続ける吉祥寺ですから、新規流入住民も多く、そうしたストレンジャー達の”通になってやるぞ”という気持ちに商機を見出しているのかもしれませんね。
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コメント
[…] 以前このブログでも紹介記事を書いた、井の頭公園検定通称「いのけん」ですが、今年度の試験の受付が9月18日に開始されました。受付当日には公式サイトが一時的に繋がりにくくなっていたので、注目度もまあまあ以上にあるのでしょう。実際の受験者数がどうなるのか、2017年の開園100周年を過ぎても吉祥寺に根付くのか、予想する楽しみもあります。 いのけんの公式問題集は6月に発刊され、吉祥寺の本屋には専用コーナーを設けてPRする所がいくつかありました。その中でも店の一番目立つところに積んでPRをしていたと思えるのが、サンロードの本屋、ブックス・ルーエです。今回はこの本屋の吉祥寺における立ち位置について少し考えてみたいと思います。 みせがまえ。写真の中央にいのけんの特集棚が […]
[…] 昨年、第一回の開催が決まった際には、このブログでもご当地検定の実情とともに、いのけんの紹介をしました。一体この検定がどれくらいの受験者を集めて、また果たしてどれくらいの規模であれば毎年開催が見込めるのか、データが気になっていましたが、第一回の開催では400人近くの受験者があったそうです。 […]
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