以前紹介記事を書きました、吉祥寺サンロードの名物書店ブックス・ルーエ。最近地階テナントの入居者募集を出していましたが、100均ショップのCanDoが入ることとなったようです。
街の変化は一面良いニュースであり、また一面悪いニュースであり、というものですが、サンロードで中規模書店として長らく奮闘してきたブックス・ルーエの、ここにきての売場縮小は、どちらかというと残念なニュースです。
以前の紹介記事の中では、人通りの多い場所で地域の地図を提供するようなブックス・ルーエのことを、「地域内アンテナ書店」と呼び、それが中規模書店がしたたかに生き残る策になっているとの見解を出しました。もしこのたびの売場縮小が、ルーエの置かれた厳しい状況を反映してのものなのだとしたら、何故「地域内アンテナ書店」が通用しなくなったのかまた考察を加えないといけなくなります。
ただし、ブックス・ルーエのケースでは、かなり外部要因が大きく存在するとも考えられます。
まず、競合する新刊書店として、2010年、ルーエからそう遠くないコピスにジュンク堂吉祥寺店がオープンしました。コピスのオープン自体がかなりセンセーショナルなニュースであり、吉祥寺の注目スポットを北進させる出来事だったわけですが、これまでルーエが相手にしてきた駅付けの書店、デパートの中の特徴の無い書店とは異なり、気合いの入ったブランド書店という相手の登場が、かなり状況を不安定にした、という見方ができるでしょう。
そして、ルーエの目と鼻の先に2011年に移転してきた中古書店のブックオフ。地上4階建てのブックオフを見てしまうと、ルーエの売り場に物足りなさを感じてしまいます。しかも、値段は中古価格ですから、ルーエで気になった本を見つけても、それがすぐそばのブックオフで安く売られていないのか気にならない客はいないでしょう。
こうして、書店の位置づけ的にも、文字通りの店の位置でも、ルーエが板挟みになる状況ができたわけです。今回の売場縮小が、それをふまえて新たに立ち位置を確保する「選択と集中」の策であってほしいと、願わずにはいられません。
ところでところで、ルーエが地階を閉めて何を始めるのか、少し期待をしてしまったという人はいないでしょうか。私は、原点回帰で喫茶店ルーエが復活するのではないかというほのかな期待をしていました。あるいは、ルーエの名前の下にまた新たな業種に手を出すのではという期待もありました。
現在CanDoの入り口は直接サンロードに面しており、CanDoの利用客がルーエのフロアを通るということはありません。ですが、これが以前のルーエの地階のように、1階フロアを経由しないと下れない階段になっていて、しかも地階から帰ってきた客がみな新しい業種のルーエの袋を手に提げていたとしたら…
又聞きですが、ルーエの喫茶店からの転身時には、万年筆が配られたとか配られなかったとか。そのときのインパクトを、ぜひまた吉祥寺の街に起こしていただきたいものです。
コメント
[…] この広告戦略が成功となるのは、眼鏡市場の売り上げを奪い、現在の店舗を閉鎖、撤退させた時でしょう。眼鏡店戦争でチェリーナードの一角を眼鏡のメッカと認識させつつ、最終的にはその場所での売り上げを全部かっさらえれば成功なのです。 こうした構図を、どこかで見たことがあります。ブックス・ルーエ地階に百円ショップCanDoのオープンという記事で書きました、ブックオフ大型店のブックス・ルーエ付近への移転です。 吉祥寺でこのような戦略をとることができるのは、高いテナント料が固定費となって店舗の運営を圧迫するという事情によるものではないでしょうか。つまり、ライバル店の売り上げを奪い、頭を押さえつければ、簡単に不採算店舗を作ることが出来るのです。 […]
[…] なお、オープン日の10月3日(金)は朝6:00から営業、5000円以上の買い物をした先着1万名にキン・シオタニデザインのマグカップがプレゼントされるそうです。キンシオを使ったプロモーションは、ブックス・ルーエを思い浮かべます。なかなか吉祥寺を研究したプロモーションだと言えるのではないでしょうか。 […]