原野であった吉祥寺への、最初の入植者の邸宅跡を使った公園、「吉祥寺の杜 宮本小路公園」について、当サイトでは雑草の生い茂る空き地状態からリポートを行ってきました。
現在宮本小路公園は4月オープンに向けての工事中です。工事の予定は3月17日まで、ということですが、傍らを通りかかると、一見これは間に合わないのではないかとも感じました。スナップをいくつか載せておきましょう。
この植栽はむさしのの雑木林と名付けられた、公園の目玉部分の一つですね。
工事期間中に大雪などあり、予定がのびのびになっているのかもしれません。遊具は無いもののお花見桟敷や舗装された小径が計画にあったりと、完成までのステップはまだまだ多そうです。
もう一つの公園プラン 吉祥寺東町一丁目公園
宮本小路公園のプランをチェックするためには、吉祥寺が属する武蔵野市のホームページなどをあたるのですが、進行中の公園整備プランとしてもう一つ、吉祥寺東町一丁目公園(仮称)というものが紹介されていました。
(仮称)吉祥寺東町一丁目公園 基本プランの決定について | 武蔵野市
こちらの公園は、女子大通り沿いで元々法政大学第一中学校・高等学校が存在した場所。厳密には道を挟んで分かれた2つの土地の内、記念講堂とテニスコートが存在していた部分になります。
かつて校舎が存在していた部分については、法政が東京女子大牟礼キャンバス跡地(三鷹市)に移転する際に、長谷工コーポレーションに売却、吉祥寺レジデンシアという8階建てのマンションになりました。この跡地売却は、周辺住民にとっては説明が省略された寝耳に水の事態であったらしく、記念講堂とテニスコートのあった土地の方も、本来は長谷工が取得しマンション計画があったところ、住民運動の高まりを受けて武蔵野市が取得、公園としての利用が決まる事になりました。
したがって、特にこの土地に保護したい樹木があったとか、子供の遊び場としての強い需要があってという形で整備が決まった公園ではないようです。公園のデザインを決める上では、宮本小路公園や吉祥寺西公園、それから杉並区の坂の上のけやき公園のように、地域住民によるワークショップが行われ、意見の集約がされたようです。
これから公園はどんどん増えるだろう
こうして数カ所同様のケースの公園を紹介できている以上、既に傾向があるとも言えますが、武蔵野市や杉並区といった住宅街の多い自治体で、今後こうした特に切実な需要はない公園の造成が増えていくのではないかと思われます。というのも、自治体が取得することになった土地について周辺住民のワークショップで利用方法を決めるのであれば、ワークショップ参加者の平均的な意向としては、周辺住環境になるべく迷惑のかからない利用方法、周辺不動産の価値を下げない利用方法にして欲しいということになるでしょう。
したがって、たとえば高層階の建築というものは回避される結果になりますし(陽当たりの問題)、利用者の多い本当に需要に見合った公共施設というものも回避される(頻繁な車の出入りなどが嫌われるからです)。公園利用の場合においても、植栽部分であるとか小山を作ったりとか、四阿や桟敷を作ったりするのは、そこで子供達に球技などされては困るからではないでしょうか。
数十年後には、すっかり武蔵野の原野に戻ってしまった吉祥寺の姿がそこにあるかもしれません。なかなかにロマンチックな結末で、嫌いではありませんが。
コメント