音麺酒家 楽々 特製肉煮干ラーメン

食中・食前ともに大変苦い思いをしました。

音麺酒家 楽々

煮干し系ラーメンが、ラーメンの一ジャンルとして立ち位置を掴んでいる気がします。煮干し系、と言っても、昔ながらの煮干しだしの醤油ラーメンではなく、最近流行の、むせ返るような煮干しの香り、苦みを楽しませるタイプのものです。豚骨ラーメンが東京に上陸した時のような、未知の臭みに対するインパクトがあるため、今後一ジャンルとして根付くのではないかと思います。

さて、今回のラーメン店、「音麺酒家 楽々」ですが、2008年に開店し、曜日や時間帯によって店名も提供メニューも変わる店として話題を呼びました。現在も毎週火〜日までは「音麺酒家 楽々」として、月曜のみは「磯辺水産」として営業しているようです。

楽々みせがまえ

楽々みせがまえ

その「音麺酒家 楽々」に日曜日に伺いました。土曜、日曜は「ラブメン」という二郎系(名称は、生郎系と考えた方がよいのでしょうか)ラーメンを提供しているそうで、私以外の人間がほとんどラブメンを注文して、厨房は非常に忙しそうでした。カウンター席に座っていると、そうした厨房の雰囲気まで直に伝わってきます。

私の前に注文されたラブメンの盛りつけを何の気なしに眺めていたのですが、何か盛りつけに間違いがあったのか、一度盛ったものを崩していました。その麺を、一度テボに戻し、茹で釜の湯で洗った後、テボのまま厨房の壁に引っ掛けて置いていました。私は茹で釜の湯で洗っていたことには多少の驚きを感じながらも、後でその麺についてはまかないにでもなるのかと考えて、大して気に留めてはいませんでした。

ただ、その麺は結局、ラブメンとなって注文した客の元に届けられることとなりました。別に衛生面でまずい事はないのでしょうが、私のような年寄りがその一部始終を見て、それが自分の注文として届けられたとしたら、おそらく箸をつけずにお代だけ置いて帰ると思います。

メニューの入れ替わりが激しく、バラエティで楽しませてくれるのは素晴らしい事だと思いますが、厨房がそれに混乱して、結局サービスの低下につながってしまっているのでは。この店にはそんな感想を抱いてしまいました。

さて、そんな感想を抱きながら、私の注文、特製肉煮干しラーメン(700円)については食べます(笑)。

楽々 特製肉煮干ラーメン

楽々 特製肉煮干ラーメン

一口啜って、のどに突き刺さるかのような煮干しのワタの苦み、エグみ。加えてこってりとしたベースのスープ。ただの煮干し系の域を出ようとする姿勢が素敵です。また、具についても満点と言って良いものです。肉は一度炙られている事で、スープの脂と混ざりあわず食べ疲れにならない。厚めのメンマの香りはスープの中で存在感を失わず、清涼感を与えてくれます。また散らされたネギは、魚の臭みをうまく消す、なめろうのネギのような役割であると感じます。一杯のラーメンとして、こってりのスープを中心に置いた設計図が非常に巧い。

それ故に、惜しいところが見つかるのです。まず、煮干しのエグみが少し行き過ぎて、薬膳の域に達してしまっているところ。潰れた苦み、エグみとでも言いましょうか。また、麺がいくらか茹ですぎた状態で出てきたところ。ただの煮干し系ですと、むしろ柔らかめの麺でいただきたい場合がありますが、動物系のこってりが加わるならば、はっきりとした茹で加減でいただきたいところ。

重ねて言いますと、設計図は非常に良い。吉祥寺のラーメンの第一選択肢としてだけではなく、他の地域からも人を呼ぶ事が出来ると思います。

お店を薦めるレビューにすればよいのか、この店には行くなと書けば良いのか、非常に迷ったので、良い点も悪い点も書きました。このレビューを読んで、行きたくもなって、行きたくなくもなったら、狙いは成功です。私が今丁度、そんな気持ち。

(2013.12追記)
現在は閉店済のようです。スタッフの方が独立開業されたお店が、三鷹市に「いなり」、調布市に「中華そば しば田」としてオープンしているようですね。

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