吉祥寺武蔵家と言えば、家系ラーメンの吉祥寺での最古参です。オープンしたのが1999年。未だ家系の味が一般に浸透しているとは言い難い時代にJRのガード下にオープンした武蔵家は、当時からひときわ異臭、もとい異彩を放っていました。
吉祥寺へのラーメン屋の進出、新規開店については、現在でこそさして珍しいことではなくなったものの、十年ほど前までは殆ど試みられない状態で、吉祥寺はさながらラーメン空白地帯でした。したがって、流行りのラーメンが東京に上陸しても毎度取り残されるのが吉祥寺の常でしたが、武蔵家のおかげで家系ラーメンの進出だけは早かったということになります。
家系ラーメンが本格的にメディアに登場しだした頃には、六角家の姉妹店であることを示すのぼりが店頭に立っていました。こののぼりはやがて取り外されることになるのですが、それについては本家と揉めたなど憶測で語られていたようです。真相は謎ですが、六角家で修行した店主が、2003年に同じ吉祥寺に洞くつ家を開店し、そちらの店先には六角家姉妹店との表記がありますので、元六角家スタッフの在否が厳密に六角家姉妹店の基準になっているというだけなのかもしれません。
つまるところ、六角家系の味であることは間違いなく、都内でよく見かける武蔵家チェーンとは別の系統です。透明な鶏の脂がスープの上面に厚い膜を作り、麺やホウレンソウに絡み付くという絵面と味のインパクトは1999年の開店当時から変わらず。そして、店の周辺に強烈な臭いを放つということでも、開店以来相変わらずです。
そんな武蔵家が、開店以来のガード下を離れ、昨年の6月に移転しました。同じ吉祥寺のどこかだということは聞いていたのですが、先日七井橋通りを歩いていて、とうとう発見しました。
発見の経緯は、井の頭公園から七井橋通りを通り駅に向かっているとき、道の半ばで懐かしい獣臭に気付き、周辺を探して見つけた次第です。七井橋通り自体からは離れた位置にありながら、強烈な臭いの自己主張をしており、おそらくこの通りの店の売り物にはみんな豚骨の臭いが染み付いてしまっているに違いありません。
実際に、「何の臭いだろう?納豆?」という会話を聞きました。今後店舗側からの苦情にならないのかが心配です。
コメント
[…] 移転した吉祥寺武蔵家と七井橋通り […]
洞くつ家が出来た経緯。
六角家で修行した若き店主が地元吉祥寺にオープンさせたのが武蔵家です。
六角家の味を正確に踏襲したクリーミーなスープで瞬く間に人気店になり、初年度で年商億越えという驚異的な数字を叩き出しました。
味を占めたオーナー(店主とは別)は拡大路線を命じました。
職人肌の店主は、店舗を増やしては味が保てないし師である六角家の名前を穢すことにもなると頑なに拒否。
すぐにオーナーにクビを言い渡されました。
武蔵家で働いていたスタッフはこれに反発しほとんど全員が店主と共に辞めました。
そうして彼らが始めたのが「洞くつ家」です。
六角家としても、その経緯を鑑みて武蔵家に名前の使用を認め続けることはしませんでしたし、洞くつ家には当然その使用を認めたのです。
店主とスタッフ抜けた後の武蔵家は散々な味でしたが、一度行列店になると不味くても行列ができる不思議。
事情通さん、そうした事情があったとは知りませんでした。大変勉強になりました。
洞くつ家が好きな方は、プッシュも非常に強いという印象がありましたが、背後にはそうした経緯があったのですね。
確かに事情を知っていたら、武蔵家が吉祥寺の家系ラーメンの代表店としてまつりあげられ続ける現状には
複雑な感情を持ってしまいます。
洞くつ家のあるあたりは、すっかりラーメン通りという様相になってきましたね。
吉祥寺駅の再開発が吉と出るか凶と出るか、ラーメン好きとしても目を離せないところです。
[…] 最近路面にリニューアルを施した、七井橋通りを下ります。リニューアルにより、少しオシャレで豚骨の臭いが漂う通りに。 […]