かつて吉祥寺の街には数多くのCDショップ・楽器屋が存在しました。思えばそれは、名曲喫茶の街吉祥寺として聞こえていた頃以来の、音楽との深い関わりであったのかもしれません。それらのショップがいまや街に存在しなくなった、とすれば、果たして吉祥寺は何の街に変わりつつあるのでしょうか。
ディスクユニオンは、前身のユニオン商会が1941年創業、という企業イメージの割に古い歴史を持つ会社です。主に東京都と神奈川県に店舗を持つCD店であり、首都圏エリアで黒地に赤いロゴの入った袋を下げて歩けば、CDを買ったのだと誰もが判別できるほど、一般の認知度があります。
店舗はお茶の水、新宿、横浜などにジャンル毎の多店舗展開をする他、鉄道路線の要所要所の駅に出店しています。吉祥寺にも2店舗、ロック・テクノ等オールジャンルを扱う吉祥寺店と、隔離されて存在するようなジャズ&クラシック館があります。ジャズ・クラシック館の1階はオーディオ・ユニオンとなっており、お高いオーディオ機器が陳列されているため、粗野なジャンルとの棲み分けをしているのかもしれません。
先頃、今年の2月に粗野な方のディスクユニオンは新装オープンしました。以前の吉祥寺店の目印であった、CDジャケットの看板が取り払われ、向かいにあるコピスと同じような大人しめの内装・外観となっています。
以前の吉祥寺店
改装リニューアルオープン後
中古CDショップにつきまとうアングラな雰囲気を、少しでも抑えようとしているのかもしれません。以前の店舗は階段を上がるといきなり壁一面のCD棚が張り出しており、壁に食らいつくCDコレクター達が、奥に入ろうとする人間の壁となっていました。改装後の店舗は、人気の無いグッズ類や書籍類の売り場を入り口付近に置く事で、入り口付近の滞留を無くしています。
ひとつだけ、気がかりな事があります。以前の吉祥寺*粗野な方*店は、値段表の色による中古CDの色別割引というキャンペーンをよく行っていました。これが、本来1000円に届くか届かないか位の中古CDの値段を、さらに40%引きなど気前の良い割引をするものだったので、結果都内の中古CD店で最も安くCDを手に入れられたのが、この吉祥寺店だったのです。
改装後、色別割引は大型連休などにしかやらなくなってしまったように思います。ディスクユニオンの他の店舗に準ずるようになったという事なのかもしれませんが、明らかにハズレのCDを、わずか数百円だからと軽い気持ちで買って、結局聴かないという体験をできなくなってしまうので寂しく思います。
吉祥寺の中古CD店も、warszawa、バナナレコードとどんどん撤退していってしまうように感じています。そんな中、ディスクユニオン吉祥寺店にはこれからも頑張り続けて欲しいと思います。
コメント
[…] 吉祥寺の街から一つ一つ消え続けているCDショップですが、その中で長らく奮闘し続けているのが、disc unionです。 以前、オールジャンルのCDを扱うdisc union吉祥寺店について紹介いたしましたが、今回紹介するのは、ジャズ・クラシックに専門特化した売り場で攻める、disc union吉祥寺ジャズ&クラシック館です。 […]