おそらく吉祥寺で最も気軽に入れる中華の店です。中華料理を安く楽しみたいとき、駅チカの旺旺は魅力的な選択肢です。
台湾料理旺旺(わんわん)は、吉祥寺駅に付属する商業施設アトレで、1995年から営業している台湾料理店です。もうそろそろ開店20周年になる旺旺ですが、吉祥寺ロンロンからアトレへの変更タイミングで改装をしたお陰で、外見からは全く古臭さを感じさせません。
開店当時は、台湾ラーメンも黒タピオカもまだメディアに取り上げられる前で、台湾中華に対する一般認知度がそれほど高くない状態でした。旺旺の地元吉祥寺での人気は、比較的リーズナブルな値段で本格的な味付けの中華が楽しめるということで、主に口コミによって形成されていったようです。
やがてメディアの吉祥寺特集でも取り上げられるようになると、看板メニューの豚肉のかけご飯とともに旺旺の名前は一躍有名になりました。値段の割に丁寧な作りで、豚角煮だけでなく野菜もたっぷり乗ったかけご飯は、確かに非のつけどころの無い人気メニューでした。
ただ、こうしてポピュラーな有名店になっていく過程で、どうしても味の傾向が無難な日本人向けに変化していってしまい、開店初期に旺旺を支持していた層からは、あまり支持を得られなくなっているという状況にもなっています。グルメサイトのレビューなどで、時々酷評されているケースを見かけますが、確かに昔の旺旺と比べてしまうと、現在の旺旺を見る目はどうしても厳しくなってしまいます。
私自身、旺旺を利用する場合にかつてはかけご飯を必ずと言って良いほど注文していたのですが、現在は他のメニューを中心に頼むようにして、新たにお勧めできるメニューは無いかと探している状態です。それでも、味付けが全体的に八角などの臭いを抜きラードの香りを抑えるという方面に向かっているのと、小皿メニューがパサパサの状態で出てくる事が多いということで、なかなかお勧めできる料理は見つかりません。酒の種類が少ないという事も、中華料理店に期待する楽しみの一つをくじかれてしまうという事で、マイナスポイントです。
ひととおりのメニューに手を出してみて、これはお勧めできるのではないかと唯一感じたのは、排骨麺(パイクーメン)です。決して本場の排骨麺のようなダイナミックさは無く、無難に日本人向けに纏まっているのですが、スープに浸された排骨の食感と味付けが妙味となっています。これは白飯にのせて食べるより、こうした背徳的な(揚げたてサクサクの排骨を、スープに浸すんですよ!)食べ方の方が合っているように思えます。
旺旺は駅チカで遅くまでやっているということで、呑みのシメということでの需要もあるようです。終電近くまで賑わっているのですが、もしかしたらシメに食べてもしつこくない味ということで、ニーズに合わせた味にしていったのかもしれません。
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