2018年の東京の桜は、3月17日に気象庁の開花宣言が出された後、3月21日(春分の日)には予期せぬ降雪と寒気に晒され足踏み。ただその後の陽気の戻りにより3月24日には満開が宣言されてしまうという、例年より慌ただしく咲く印象のある桜でした。東京の開花宣言は靖国神社境内のソメイヨシノを基準木として出されるため、それよりも標高にして30mほど高い場所にある井の頭公園の桜は進捗(?)がやや遅れます。3月24日(土)と3月25日(日)の週末には花見客が沢山井の頭公園を訪れ、SNSなどで「井の頭公園の桜が満開!」等書いているのを見ましたが、添付されたまだ満開に1〜2割程足らなそうな桜の写真を眺めて、”満開”という言葉の意味するものも変わったのだなと感じていたものです。
週末に満開の桜が見られない?
そういった経緯から、井の頭公園での花見については悠長に構えていました。まさか週末のタイミングを外して桜の満開が終了してしまうことはないだろうと。ところが、週の頭から夏の始まりかと思うような陽気が桜を襲い、樹は負けじとその陽気を成長力に変えてしまおうと葉を伸ばし、その成長に邪魔な花をどんどん地面に投げ出し始めたのです。桜の花は満開時の強風などいかにも花を散らしそうな物理的ダメージには案外耐えるのですが、陽気に当たって樹自身が初夏のモードを意識し始めると、花はポロポロ落ちていってしまうのです。おかげで、今週末初めて花見をする客は不格好な桜を拝む羽目になってしまうかもしれません。こんな文章を書いている間にも、どんどん花びらが太宰治ばりに入水してしまってる可能性が高い!
そんな悲観的な観測をもとに、当サイトでも週末にじっくりと行おうと思った満開の桜取材を早めて、既に散り気味となってしまった桜を撮ってきました。まずは井の頭公園から出発する毎年恒例の桜レポート、どうぞお付き合い下さい。
井の頭公園駅を始点に、池の北側の桜レポート
まずは京王井の頭線の井の頭公園駅辺りから歩き始めて、井の頭池北岸のめぼしい桜を撮っていきます。
勿論幹から枝からほうぼうに花をつけ揺らしている桜は非日常的で綺麗なのですが、例年と比べると樹全体が同じ開花具合でバッチリ揃っている感じがなく、少し落ちるかな…といった具合なのです。
大人気のスワンボートですが、今年は手漕ぎボートを借りて、ボートに完全に仰向けになる形で自撮り棒を使って自撮りしている人も見かけました。インスタ映えする写真なのでしょうが、撮影風景を見ていると棺に入っているみたいで面白かったとは、まあ言わないでおきましょう。
現地で見た桜は少し不格好だったのですが、写真に残すとそれほど気にならないなと編集をしていて思いました。まあこういう年もあってよい。
池の南側は桜の散りが早い
池の南側の桜は、井の頭池の水面に太陽の光が反射するから成長度合いも早いとか。しょっちゅう花吹雪が起こっていましたね。
週末には葉桜になっていそう。花より団子の精神でぜひ楽しんで下さい。
花見に間に合わせたかいぼり2018の成果は?
最後は開花具合とは別の余談(当サイト的には本筋かもしれませんが)。少し前まで井の頭公園100周年記念事業としてかいぼりを行っており、池の水はすっかり抜かれておりました。抜かれた状態の写真などはこちらの記事にあります。
記念事業のかいぼりは3回行われ、今年のかいぼりが3回目、すなわち最後のかいぼりでした。かいぼりを行うごとに段々と手際が良くなっていき、梅の季節には底を見せていた井の頭池も、今では完全に元の池に戻っております。
ただかいぼり2018後の水質などを見ますと、過去2回のかいぼり直後と比べていまいち透明度が低いのではという気がします。水を戻す際に大嵐が来たり、雪が降ったりと色々あったためまだ池の水が落ち着いていない、つまり過渡期的な状態なのかもしれませんが。
そんなわけで、やや濁り気味の水の上に咲く桜を眺めて、かいぼりの初回が行われる以前の井の頭池での花見のことなども思い出して懐かしくなるのでした。たまにリバイバルとして平成時代の水質を再現する企画なんて今後いかがでしょう?
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