吉祥寺くまもと物産館の閉店 移転再オープンをにおわせつつ

熊本県物産PRショップとしては充分すぎる程役目を果たしていたと思います。

くまもと県物産センター

当サイトでも何回かにわたり紹介をしてきました(紹介1紹介2)、吉祥寺名所でもあったくまもと物産館。そのくまもと物産館が、2月23日(日)の営業を最後に、9年間にわたる吉祥寺での営業の幕を下ろしました。

くまもと物産館が閉店するという店頭POPが掲げられたのは、確か2月も中旬にさしかかってからだったと思いますので、利用客からすればあまりに急な展開。何か深刻な裏事情もあったのではないかと疑ってしまいます。ただ、昨年末の時点でいくつかのカテゴリの商品を引き上げ始めていたりと、兆候が全く無かったわけではありませんでした。
また、実は昨年の時点で当サイトに「くまもと物産館 閉店」というキーワードでやってくる方がポツポツ居ましたので、事情通の方は既に知っている、既定路線であったのかもしれません。

くまモンがしおらしいPOP

くまモンがしおらしいPOP

とは言え、あれほど賑わっていた物産館が何故突然閉店してしまうのかという、利用客側の疑問も尽きないでしょう。地方自治体アンテナショップと言えば、あくまでよその土地におけるPRの橋頭堡としてこぢんまりと営業を続けていれば合格点のところ、くまもと物産館は攻めの姿勢が目立ちました。繁華街アーケードのただ中という立地でありながら、2011年10月には売り場を拡張して青空市場も作っています。
その辺りのイメージと今回の閉店が上手く繋がらずモヤっとしていたので、このくまもと物産館の成り立ちを含め少々調べてみることにしました。

くまもと物産館の成り立ち

吉祥寺のくまもと物産館のホームページというものは無いので、各種メディアの紹介記事などから情報をまとめてみます。くまもと物産館を運営していたのは、株式会社熊本県物産センターという企業。意外なことに、熊本県の関連企業というわけではなく、また銀座の熊本館のように社団法人などでもありません。この企業の設立者は、杉武男さんという方。観光地などに行くとよく見かける、蜂蜜などを売っている杉養蜂園の創業者だそうです。

杉養蜂園楽天市場店

この杉武男さんが、会社がまだ全国的知名度をもっていない頃に、熊本県物産振興協会が各地の百貨店などで自社製品をプッシュしてくれたということの恩返しの意味もあって、物産館の出店を決めたとか。とは言っても熊本県の産物をあまねく扱う物産館は、なかなか単独採算化にはいたらず、開店から赤字状態が続いたようです。
転機となったのは、2011年3月に発生した東日本大震災。消費者の西日本産の野菜などを求める動きが強く、2012年の決算では始めて黒字化を達成したようです。先述の青空市場の拡張が2011年10月。そういった背景があったのですね。

逆ざや状態の解消が閉店理由?

ところが東日本大震災後の混乱が落ち着いてしまうと、どうしても西日本産の野菜を求めたいという機運もなくなってきます。拡張した売り場に対して、売り上げが元の数字に戻ってしまうとより大きなダメージに繋がる。
売り場の売り子の方が、今回の閉店の理由について「もっと売り上げを上げたいから」と説明していました。つまりもう少しパイの大きな場所に移転して、好評であった熊本物産のPRを続けていきたいということなのでしょう。

PRと採算化の両立は難しい

自治体のアンテナショップというと、自治体がPRのため直営で出店するタイプや、一部出資の第三セクタータイプなど、とにかく自治体が出資者として絡んだタイプのものがあります。そういったタイプの店では、店舗の採算的に赤字であっても、それが自治体のPRに繋がればよしと出来るところがあります(勿論、あまりに赤字経営だと納税者からの突き上げもあるでしょうが)。また、物産を売り上げるだけでなく、観光地の売り込みと観光客の誘致といった業務を絡ませることで、アンテナショップの存在理由は充分に確保できます。

一方、民間企業の運営するアンテナショップでは、あくまで健全経営が第一目標となります。そのためそういった店では、製品の取り扱いを売れ筋のみに絞ったり、利益の大きい自社生産品のみのプッシュをしたりと、通常小売店と同じような工夫が必要になります。ただ、極限までそれを行うと、アンテナショップの名を借りた地方物産取り扱いショップになってしまいますので、匙加減も難しい所です。

くまもと物産館の場合は、先程説明したようにそもそも出店にあたっての動機というものが知名度の低い地元物産の紹介、全国展開への手助けをしたいというものでしたので、地元の生産者からの期待も厚く、売り上げ増に繋がらない商品の取り扱いを絞っていくというのが難しかったのではないかと想像します。

再オープンの可能性は高い

閉店POPが店頭に出されるのと同時に、店内には利用客が連絡先などを書き込むノートが用意されました。今後移転再オープンの際には、連絡があるとのことです。また吉祥寺でオープンということはないでしょうが、都心には既に銀座熊本館がありますので、近辺での出店を期待したいところですね。

閉店間際、商品がほとんどなくなった店内で売られ続けていたはちみつソフト。

はちみつソフトが特別価格でした

はちみつソフトが特別価格でした

はちみつソフト近影

はちみつソフト近影

今にしてみれば、なるほどそれではちみつソフトだったのかと納得します。杉武男さんはくまもと物産館で自ら売り子をされていることも多かったそうですが、あああの方かと思い当たる人も多いのではないでしょうか。

(2014.8追記)
吉祥寺くまもと物産館の後継というわけではないですが、ここ最近に都内の熊本県物産館オープンのニュースが2つほどあったようなので、紹介します。
まずは、江東区にあるららぽーと豊洲に2015年3月までの期間限定でオープンした、『くまモンのふるさとショップ』。こちらは、銀座熊本館と同じく一般社団法人熊本県物産振興協会が運営するショップです。熊本県物産振興協会と言えば、記事中で紹介した杉武男さんが会長の組織ですが、全国商工会連合会の支援事業を利用して事業費を捻出しており、単体黒字化のプレッシャーはそこまで大きくないプロジェクトであると思われます。ただ、好評であれば来年以降の継続もあり得るということなので(高知屋タイプの事例でしょうか)、今後の展開が気になります。
もう一つは、表参道にあるアレスガーデンという商業ビル内にできた、『Mareche de くま』というショップ。ビルの所有者である株式会社アレスという企業が、熊本県球磨郡で旅館を経営するなど熊本県とつながりをもっており、その関係でオープンしたショップであると思われます。同ビルにはレインボーパンケーキという人気パンケーキ店も入居しており、果たして相乗効果があるのか気になるところです(少し吉祥寺のくまもと物産館のケースに似ているとも。おそらくくまモングッズを推していくことでしょう)。ショップの面積は狭いですが、球磨郡繋がりということで、球磨焼酎の品揃えにも期待して良いのかな。

杉養蜂園吉祥寺店オープン(2016.1追記)

今度は杉養蜂園吉祥寺店として、旧くまもと物産館と同じローズナードに帰ってくるようですね(1/16オープン)。はちみつソフトは健在ですが、余裕が出てきたら熊本県の物産もまた取り扱ってくれるかな?と期待。

杉養蜂園吉祥寺店
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コメント

  1. […] 2月23日付けで閉店のようです。閉店に際しての記事を書きました。 […]

  2. […] 2月23日付けで閉店のようです。閉店に際しての記事を書きました。 […]