吉祥寺に3つある自治体アンテナショップの内のひとつ、くまもと物産館の紹介をしましょう。場所はチェリーナードからパルコ方面に枝分かれするアーケード、旧名ダイヤ街ローズナードにあり、2テナントをぶちぬいて使っているのか店の面積は結構広いです。さらに店内奥からまた別のテナントスペースに抜けられ、そこではテントで野菜などの生鮮食品を売っています。
見ての通りくまもと物産館という看板が掲げられていますが、正式名称はくまもと県物産センターのようです。この場所に開店したのは2005年、青空市場を拡張したのが2011年10月になります。
2011年と言えば、東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所のメルトダウン事故がありました。被災地の食べ物を買って積極的に支援しようという動きと、それとは対極の、少しでも被災地から離れた産地にこだわって食べ物を手に入れようとする動きがあり、そうしたなか九州熊本県のアンテナショップが提供する生鮮食品が注目を集め、ニーズに応える形での拡張をしたのかもしれません。なにしろご当地の産品をPRするという目的の店なので、産地偽装などの可能性が皆無という安心感もあります。
アンテナショップの考察記事でも書きましたが、生鮮食品を主力にできるというのはアンテナショップとして珍しく、やはり吉祥寺の地の利を生かしていると感じます。さらにこの店では、他のアンテナショップではなかなか見られないような独特な光景を見る事ができます。
まず、店員が大体オバチャンで、レジ周辺で井戸端会議が始まっている光景をよく目にします。熊本から派遣されたおばちゃんというわけでもなく、きっと地元の方なのでしょうが、これが店側の意図なのかは不明です。
取り扱いの品として、お惣菜、点心、ソフトクリーム、いきなり団子などのテイクアウト系が充実しています。ある意味で旧ハモニカ横丁や旧チェリーナードの入り口付近に位置取っていたお惣菜屋さんの系譜であるのかもしれません。
酒類の充実もうれしいところですが、これはまた別の機会に書きましょう。
そして、2階の郷土料理屋では郷土料理のセットなどと一緒に、熊本のとんこつラーメンを提供しています。このラーメン、500円と吉祥寺のラーメン屋の相場からしたら安価でありながら、なかなかの熊本とんこつです。
その他目立つ点としては、入り口付近にくまモングッズを置いて、パルコ方面から足を運ぶ若い人にアピールをしています。くまもと物産館は、結構スキの無いアンテナショップなのでした。
(2014.2追記)
2月23日付けで閉店のようです。閉店に際しての記事を書きました。
9年間吉祥寺での営業、お疲れさまでした。
コメント
[…] 吉祥寺には自治体アンテナショップの出店が多い、ということについては、以前昨今の自治体アンテナショップ事情と吉祥寺という記事で紹介した通りです。全部で3店のアンテナショップが、吉祥寺に比較的根付いて営業しているという状況に変わりありません。 3店のうち、熊本県のアンテナショップ、くまもと物産館以外の2店は、中道通りにほぼ向かい合って営業しています。古陶器やオシャレなカフェやらミニカーカフェやら、かなりオールジャンルの店が雑然と並ぶ中道通りですが、八百銀という八百屋が長く営業していることからわかるように、地元の方が生鮮野菜を買いにもやってきます。そうした中道通りに最初に出店した高知屋のテーマが、高知産野菜の販売であったという事で、目の付け所がよくて長続きしているのではと思います。 […]
[…] 当サイトでも何回かにわたり紹介をしてきました(紹介1、紹介2)、吉祥寺名所でもあったくまもと物産館。そのくまもと物産館が、2月23日(日)の営業を最後に、9年間にわたる吉祥寺での営業の幕を下ろしました。 […]