石神井公園駅付属の商業施設 エミオ石神井公園

駅チカの方のエミオ エミオ石神井公園
駅チカの方のエミオ

吉祥寺駅周辺の再開発の一区切り、キラリナ京王吉祥寺のオープンは今年の4月に予定されています。それに先んじて、こちらもずっとリニューアル工事中であった西武池袋線の石神井公園駅は、付属の商業施設エミオ石神井公園を、部分的ではありながらも昨年10月にオープン、お披露目しています。

エミオ石神井公園の特徴は、駅構内のテナントと駅の周辺を取り囲むテナントを一括りの名称でまとめる、駅ナカとも駅チカとも呼べない出店形態。駅の中で見るのもエミオですし、構内を出ても目の前にはエミオがあります。エミオは西武鉄道肝煎りの商業施設ですが、駅ナカのブランド力・話題力を、周辺施設にも活かして勝ち組クラブをつくる、といった広告戦略構想がまずあったのかもしれません。

駅ナカから始まるエミオ

駅ナカから始まるエミオ(左側イトーヨーカドー部分)

西武鉄道の開発計画によれば、今回開発対象となった駅周辺エリア一体は、エミナードという名称で一括りに扱われています。エミオはその中のショッピングスペースですが、その他にも子育てなどの生活サポートサービスを提供するエリア、地域コミュニティスペース、大型駐車場・駐輪場など、公共的サービスに類する部分の提供予定もあるようです。言わば、石神井公園駅周辺の住み易さの向上までもを鉄道会社が担うということで、そこまで乗り出してくるのは、やはり戦略的に成功をおさめる青写真があるからではないかと推測できます。

肝心の商業施設エミオ部分についてですが、石神井公園駅の周辺をEmio W(ウエスト)、Emio N(ノース)、Emio E(イースト)という三区画に分け、2015年度までの段階的なオープンが予定されています。昨年10月にオープンしたのはEmio WとEmio Nで、Emio Eのオープン予定が2014年夏となっています。

駅チカの方のエミオ

駅チカの方のエミオ

駅徒歩0分、真向かいです

駅徒歩0分、真向かいです

誰しもまず感じるであろうことは、駅チカエミオが駅の出口から非常に近いところにあるということ。駅の利用者が、意図せず駅ナカ・駅チカ合わせたエミオ商店街の中に囲い込まれている印象です。そして、そのことは、旧来の駅前商店街から、容赦なく客を吸い取るという戦略の存在をもにおわせます。
エミオの戦略は、吉祥寺駅周辺の再開発において、ドン・キホーテにヤマダ電機にユニクロにといった新しいプレイヤーが登場し、従来の回遊性のある街作りを否定しつつある状況によく似ています。むしろ、回遊性の否定をよりコンパクトな形、駅徒歩0分で間に合う街という形で行ったのが、石神井公園駅の再開発なのではないでしょうか。最早、鉄道駅が地元商店街に遠慮しながら開発を行うという従来の構造は、脆くも崩れさってしまったように思います。

石神井公園駅のケースでは、徒歩0分商店街の実現を後押しする要素がさらに存在します。石神井公園駅周辺にそびえ立つタワーマンションの住人から見た場合、地元商店街よりも近いところに、エミオがあります。西武池袋線を通勤路線として使う場合には、毎日マンションと駅の往復になりますので、その途中で買い物や、生活サポートサービスの恩恵を受けられるということであれば、もう従来の商店街に足を踏み入れる必要がなくなります。

このように、駅ナカと駅チカが一緒になったエミオのオープンについては、地域の明るいニュースとして恩恵を得られる人の側と、明確にババを引かされる人の側と、明暗がはっきりと分かれるものでしょう。駅ナカ・駅チカの華やかな話題の裏に意図あり。今後色々な街で、こうした動きを見てとることが出来るのはないかと思います。

(2014.7追記)
エミオイーストのオープン日が2014年8月21日(木)に決まったようです。詳しくは新たに記事にしましたので、そちらを。

コメント

  1. […] 西武池袋線の石神井公園駅と言えば、駅周辺の再開発にも一段落がつき、にわかに世間の注目度も上昇中の駅です。メディア等でも、新しくオープンした駅前商業施設「Emio」を中心としたエリアの紹介が、今後増えるであろうことが期待されます。 […]

  2. […] 以前の吉祥寺駅を思い返してみますと、北口側は構内に入れる開放面が多く、1階券売機・窓口前まで空間が広くとられており、たとえば団体旅行者などが駅構内を集合場所にすることも可能でした。一方で、南口側の間口は狭く、また南北の通り抜けをしようと思った場合には、細く曲がりくねった連絡通路を通って北口側に向かわないといけませんでした。 そこで、改装の目玉となったのが駅の南北通り抜けが出来る自由通路です。通路のほぼ全域にわたって幅員16mを確保し、これまでの駅北口と南口の分断状態を解消、人の流れを作り出すというものです。駅の南北が繋がるイメージとしては、エミオを展開中の石神井公園駅が近いでしょうかね。 […]

  3. […] 昨年10月にオープンし、当サイトでも紹介を行った西部池袋線石神井公園駅付属商業施設のエミオ(Emio)。昨年のオープン時にはエミオウエスト・ノースのみの部分開業ということでありましたが、このたび残りの部分、エミオイーストの開発完了につき、8月21日(木)に全館オープンとなることが決定しました。 […]

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