井の頭公園の基本情報で紹介したとおり、井の頭の名前の由来については、江戸の三代将軍家光が当地に鷹狩りに訪れ、湧き水や景勝を大層褒め名付けたという言い伝えがあります。また、井の頭公園の七箇所の湧き水のひとつ、お茶の水の名前については、徳川家康がこの水を使ってお茶を点てたという言い伝えがあります。それ以前にそうした名称が全く無かったのかどうかは不明ですが、将軍家がこの地にしばしば足を運び鷹狩りをしていたというのは確かなようです。
井の頭池の西側、梅園のある坂を登って吉祥寺通りに出るまでのエリアは、御殿山と呼ばれ、現在は雑木林になっています。御殿山はその字面のごとく、将軍家の鷹狩りの休憩所として使われた御殿がここに建っていたことから付けられた地名で、もし先の言い伝えが正しかったとしたら、家光はここから井の頭池を眺めて賞賛に及んだのかもしれません。井の頭池に対して高台であるという地勢に価値を見出したのは、家光のはるか昔の人間についても同様で、この高台に竪穴式住居の遺構が見つかっています。御殿山遺跡と名付けられていますが、縄文時代の住人からすれば、先鞭をつけたのは自分達だから遺跡山御殿が正しいと思うかもしれませんね。
住所としての御殿山は、武蔵野市に属し、二丁目まで存在します。井の頭池のエリアは三鷹市になりますが、梅園のあたりから西に、自然文化園を含んだ地域が武蔵野市御殿山になります。西側エリアでも上水を境に南は三鷹市下連雀になるので、ジブリ美術館や山本有三記念館などは含まれません。
雑木林にはクヌギやナラ、アカシデ、イヌシデなどの高木が整然と並んでいます。人の手によってできた素晴らしい雑木林は、中を歩くと時間の流れを忘れさせてくれるはずです。また、季節の移り変わりによる変化がはっきりとしており、春夏秋冬よりも細かい季節の存在に気付かされます。
井の頭公園らしく閉鎖的なところが全く無い雑木林なので、吉祥寺での買い物の合間、休憩のため訪れてみるのも良いかもしれません。ここでは殿様級の満足が保証されています。
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[…] 1月25日・26日には、ボランティア参加者による魚の捕獲が行われます。2月中は池の底を見せている状態になりますが、古代より存在する井の頭池から何が出てくるか、そういった方面の期待もしてよいのではないかと思います。 焼き鳥のいせやの公園店からは、縄文時代の調理場が発見され、また御殿山には縄文遺跡があります。ということで、池底の深い層には、古代人の忘れ物が埋まっているかもしれません。また、名高き井の頭弁天として江戸時代には参詣者が多く、店も出ていた筈です。古銭や陶磁器の類、奉納品なども出てくるかもしれません。 […]