中華そば青葉と言えば、いまや中野で押しも押されぬ人気を持つ有名ラーメン店です。中野でラーメン店と言えばまずこの店の名前が浮かぶくらい根付いている青葉ですが、開店は1996年とそれほど古くなく、その知名度や正統派のイメージからすると少し意外に思えます。ラーメンのトッピングとしてなるとやシナチクが乗っているという、見た目のクラシックさも老舗感の演出に一役買っているかもしれませんが、毎年のように登場する新店めぐりに飽きたとき、ふと回帰したくなる、そういったポジションの店であるように思います。
青葉の支店は、関東近縁に十数店舗ほど存在します。その中でも西荻窪店は唯一新味専門店だということで、クラシックな荻窪系ラーメンのシマである西荻窪に、どのような味をひっさげて乗り込んだのかと興味を持って入店しました。
店は西荻北銀座の、駅からまもなくのところにあります。平日の昼時でも客入りがあまりなく、調理の方とアルバイトとおぼしき女性の方二人で余裕でまかなえている状態です。メニューには中華そばとつけめん、およびそれぞれの特製があり、その点は他店とも変わりがないのですが、中華そばの値段は700円から、つけめんの値段は750円からとそれぞれ50円ずつ高くなっています。たった50円の差と言えばそれまでですが、700円台のラーメンとなるとクラシックを堪能するには少々割高で、どうしても新店と同じくインパクトがあるかどうかの基準で評価してしまいます。
中華そば700円は、スタンダードな青葉の中華そばに比べスープの色が薄めです。写真を撮りながら想像した味は、青葉の中華そばをコクをそのままにさっぱり塩味風味にしたものという感じ、あるいはらーめん山頭火に近いものであろうかというものでしたが、いざ実際にスープをすすってみるとどうにもインパクトが足りず、青葉らしさも欠いた印象を受けました。
麺は柔らかめの太めです。うどんのようにツルツルとすすれてしまうため、あまりスープも絡まず、熱いうちにすすると本当に油の印象しか残りません。ゆず唐辛子を頼めるようでしたので味の印象を変えようと工夫してみましたが、やはり足りないコクの部分が気になってしまいます。この系統で新味を作るのなら、いっそ底に骨粉が残るくらい荒々しい後味で意表をついてくるのが良かったかもしれません。
中野から西荻に出店すると同時により大人しい味にまとめた、というのは、中野カルチャーから見た西荻窪のイメージを反映してのことだろうか、そんな下らない事も考えながら完食しました。決してまずくはないのですが、本店より50円高いということもあり、青葉が食べたくなったら電車賃を払って中野まで行く方が良いという個人的結論に至りました。
(2013.3追記)
閉店してしまいました。普通の青葉を出店すれば、西荻住人のニーズはあると思うのですが。とは言え、青葉は他のラーメンチェーンに比べて、損切りの判断が早いという印象があります。実際、支店がなくなって中野の店だけになったとしても、たまに食べたくなって行く人は多いでしょう。
(2014.7追記)
だいぶ長い間空きテナント状態でしたが、やっと天ぷらの五代天というお店が入ったようです。見た目はやはり前テナントの青葉を思い起こさせますが…
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