西荻窪駅の南側の出口から出て、ピンクの象のいる仲通商店街を抜けます。すると狭いアーケード通りをそのまま延長するかのように細く狭い通りが、五日市街道方面までずっと伸びています。この通りが西荻窪の地元民に”旧府道”と呼ばれる道で、最近では西荻案内所とマスメディアの後押しあって、”乙女ロード”という名称でも知られています。
“乙女ロード”のコーヒースタンド
“旧府道”名称と”乙女ロード”名称の関係は、さしずめビュザンティオンとコンスタンティノポリスの関係といったところでしょうか。とにかく”旧府道”然としていた通りが、”乙女ロード”名称を名乗れるほどに変容していったのは、女性(あえて若いとは言いません)向けのお店が増えていったからでしょう。ターニングポイントは、2009年に通りの入口部分にフレンチカレースプーンが出来た辺りではなかったか、とざっくりと考えているのですが、いかがでしょう。
さて、この狭い通りに”乙女”向けの店が集まって増えてくると、どの店に入るべきか、あるいは第一希望の店に入れなかった時どうするかなど考え、通りをただ通り抜けずに滞留する人が増えて行きます。そうした人達に向けて、ちょっとした軽食やコーヒーブレイクの誘惑を差し出せば、案外簡単に飛びついてくれるのかもしれません。
というわけで、”乙女ロード”にコーヒースタンドが登場し、受け容れられるのも必定のことであったか。2014年に出来たMOSS CORE Coffeeを紹介します。
サードウェーブ系 鎮座するマシーンが目立つ店
MOSS CORE Coffeeのある場所は、先程言及をしたフレンチカレースプーンをほんの少し五日市街道側に進んだところ。丁度右側に曲がれるようになっていて、奥まった所にりげんどうやラーメンの三ちゃんなどがあります。
店舗の外観は本当にコーヒースタンドといった感じのシンプルなもの。それでも店の中に入るとカウンター席が7席あり、席が空いていればじっくり座ってコーヒーとスイーツを愉しむこともできます。
ただし、テイクアウト目的でやってくる客も、コーヒーがじっくりと時間をかけて抽出されるまでの時間を店内で過ごします。したがって、文庫本を持ち込んで長居するといった目的には、あまりふさわしくないかもしれません(この辺りが、旧来の西荻的喫茶店との違いでしょうか)。
シングルオリジンコーヒーのエスプレッソをテイクアウトで注文。カウンターに座ってコーヒーの出来上がりを待っていると、店内にある様々な抽出器具に目を奪われます。器具の一つ一つが理科実験室から出てきたかのような機能的な見た目をしている。特に最大であろうSlayerのエスプレッソマシーンは、一番目立つ所にシンボルのように置いてあります。サードウェーブ系の、コーヒー求道者的な自負心にも感じられます。
今までの人生で一番濃いエスプレッソ!
テイクアウトのエスプレッソは、テイクアウトと言えどもエスプレッソカップサイズで紙コップに入って出てきました。飲みながら散策するには不十分な量であった、次回はドリップコーヒーにしてもらおうなどと考えながらカップに口をつけると、一気に飲むことの出来ない、特濃のエスプレッソにガツンとやられました。
大変苦く、大変エグい。栗の渋皮を液体にして飲んでいるかのよう。これは面白い、やられたなあと考えつつ、やっぱり次回はドリップコーヒーにしよう、と再度確認したのでした(笑)。
(2023.3追記)
ページへの反映がとても遅れていましたが、2019年をもって一旦閉店しています。
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