いまやグルメの街としてメディアに取り上げられることも多くなった、西荻窪。毎月のように新しい個人オーナー店がオープンし、即座に特集記事が組まれていきます。マスコミ関係者の、西荻窪方面に向けられたアンテナの高さを思い知ります。
西荻窪の”名店”事情
グルメの街という称号の根拠になっているのは、こうした新規開店の多さだけではありません。西荻窪で長く営業する、西荻窪の”名店”というものの存在が勿論重要でしょう。ただ、西荻窪の”名店”とまつりあげられている店の中には、それほどライバルの存在しない時代から営業を続けて地元民の支持を得た”名店”も多いので、近頃の店のレベルの高さに評価のハードルを上げて”名店”にトライすると、狐につままれたような気分になってしまうこともあるかもしれません。そこら辺の事情は、”名店”の一つでもある坂本屋について書いた記事でかつて触れました。
メディア等では一緒くたにされており混乱の元となっているのですが、このように西荻窪の”名店”には2種類あります。
西荻窪住民に愛される”名店”は評価したい
ただ、地元住民贔屓の”名店”について、きまって低い評価に結びつけることは本旨ではありません。西荻窪という街は、孤独のグルメの主人公よろしく独りで迷い込む者を受け容れる街。事前情報のない独り歩きで偶然見つけた店が刺激や驚きを与えてくれたとき、その店は”名店”として心に刻まれることになります。そのような”名店”基準が存在すると気付いたとき、西荻窪の”名店”、それは西荻窪らしさに溢れた店のことなのだとわかり、愛着を持てるようになるのではないでしょうか。
たけちゃんのたこ焼き 西荻窪の十年選手
今回紹介する”名店”は、神出鬼没の移動屋台として出くわすであろう”名店”です。西荻窪でもう十年以上もたこ焼きを販売し続けており、その歴史の中で実店舗を構えたり、営業場所を変えたりとつかみどころのないフットワークの軽い営業を続けています。おそらく現在では、西荻窪駅南口のみずほ銀行裏、ヘアーサロンコヤマの前辺りを主たる営業場所としているのではないでしょうか。
たけちゃんのたこ焼きは3個100円からとお求め易い価格になっており、手書きされたメニューには6個200円、9個300円、12 個400円、、、30個900円と恐ろしいことが書いてあります。実際に30個頼む人は居るのか分かりませんが、大量のたこ焼きを頼んでも飽きさせないよう、トッピングや味付けのヴァリエーションが多大です。ソース、にんにく、しょうが、カレー、梅こんぶ等々。そして6個以上注文の場合ハーフ&ハーフで味付けを2種類選ぶことが出来ます。たこ焼きを買ってスターバックスのようにトッピングに悩む体験をするのは、予想外すぎます。
たこ焼きのお味の方は、生地も非常にプレーンなたこ焼きで、トッピングをベッタリと遠慮なく塗ることを前提としたような味です。それがまた独特で、たこ焼きのようでたこ焼きでない。けれどもたこ焼きの最低条件は満たしているというような、つかみどころのないやみつきになってしまうような味です。この味には是非遭遇して、ご自身で評価を下していただきたいところ。
つかみどころのなさと言えば、手書きメニューを目の前にじっくり悩み注文の個数を告げると、しばしば2個程オマケがされていたりします(笑)。お得なサービスで嬉しいことではあると思うのですが、特に何も触れられることもなくオマケを忍ばされていたりすると、騙し絵に遭遇したみたいで、なんというか西荻窪的ですね。
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