当サイトは武蔵野三大湧水池の紹介、大プッシュをするサイトでありますが、同時に武蔵野三大湧水池が存在するエリアのお店などなど紹介するサイトでもありまして、当該エリアを”広域吉祥寺圏”と定義し(上部リンクにもありますが)カフェやクラフトビールやラーメンなど気になるトピックではまとめページも作成しております。
元々はスワンレイクのお店があった場所
さてこの広域吉祥寺圏シリーズ、網羅性の高そうなページ名に反して当該エリアの店舗の新陳代謝の早さにあまり追いついていない凡骨なのですが、その中でもクラフトビールのまとめについてはお店の開店閉店のペースが非常に早く、気がついたら記事にしようとしていたお店が閉店してその跡地にまた別のお店が入っていたりします。
今回紹介するお店のケースがそれで、元々この場所にオープンしていたのは新潟県のクラフトビールメーカー、スワンレイクの直営店でした。2018年の3月に開店して、同年9月いっぱいで撤退。その短い期間で何度か足を運び、記事にするならばどのようなことを書こうか、などと考えているうちに店が閉まってしまいクラフトビール業界は本当に水物だな…と思ったものです。
スワンレイク直営店だった頃の売りは、クラフトビールと一緒に新潟のブランド牛のお肉が楽しめるというものであったはずですが、漠然と撤退理由を考察してみるに、二枚看板のうちの一つであるブランド牛をじっくり堪能しようとすると若干お値段高めであったのと(そしてそのお値段で楽しむのであればもっとちゃんとした座席で食べたい)、やはり立地がイマイチであったかのかなと納得したものです。同じ通りのならびには安価にクラフトビールを楽しめバラエティもある居酒屋ビールボーイがありますし、そうした強力なライバルがいるにも関わらず界隈自体の人通りはあくまで少なめなものですから。
静岡のベアードビールがTex-Mex料理との二枚看板で出店
スワンレイクの急な撤退に驚きつつ、まあ場所柄仕方ないのか、と勝手に納得していたところ、翌年の2019年5月になんと同じ場所に別のクラフトビールメーカーが入居すると聞きまして、思わず耳を疑ってしまったものです。
新たな入居者は静岡県のベアードビール(ホームページ)。ベアードビールは静岡県の沼津発のビールメーカー(現在の拠点は伊豆の修善寺)で、醸造開始したのが2001年という、地ビールブームの下火化とその後のクラフトビールブームとしての復活を経験した国内クラフトビールの世界では老舗メーカーです。アメリカ人の旦那さんと日本人の奥さんが始められた、ビールのラベルデザインなども一見すると外国産ビールに見えないこともないビールですが、国産クラフトビールシーンにおける先駆者としてあるいは静岡のローカルビールとして、特にあの辺りの後続クラフトビールメーカーにはかなりの影響を与えていると言えます。
ベアードビールの直営店はタップルームと呼ばれ、都内では中目黒、原宿、高田馬場などに店舗があります。それぞれのタップルームがクラフトビールの他にコンセプトをもった二枚看板で出店しており(このプラスαで各店舗差別化を行うのはCraft Beer Marketもそうでしたね)吉祥寺のタップルームはTex-Mex料理とのコラボになりました。Tex-Mex料理というとメキシコ料理風のテキサス料理のことで、タコス、チリコンカン、ナチョスなどのメキシコ料理にテキサス料理風の肉肉しさを加えた親しみやすい料理です。吉祥寺でTex-Mex料理が楽しめる店、というそちらの看板だけの需要も結構ありそうですから、さらにそのお店はビールメーカーの直営店で本格的なクラフトビールも楽しめるとなると相乗効果も期待出来るのでしょう。
バラエティのあるビールと満足度のある肉肉しさ
この吉祥寺タップルームがオープンしてから一年以上経つわけですが、当初私が「立地はどうにもならないのでは?」と予想をしていたのとは裏腹に週末などには結構お客さんが入っています。関東圏のビールファンにおけるベアードの知名度が高く、吉祥寺のクラフトビールのお店というより多摩地方のベアード直営店という指名買いで来店する方が多いのかもしれません。そうであれば立地がいくぶん悪くても問題ありません。
お店の雰囲気も、おおむねフレンドリーで若々しいスタッフが常駐しており店内での会話も弾みます。お得な飲み比べセットで銘柄を選ぶ際にも色々と親身に相談に乗っていただきました。
Tex-Mex料理には料理名を見ただけでは内容が想像出来ない料理が多いのですが、そちらもスタッフさんに聞いてたちどころに解決です。
もの珍しいメキシカンな味付けと”肉を食べたい”という欲求に答える存在感のあるブリトープレートでした。クラフトビールを楽しみつつ同時に小腹も満たしたいというタイミングにリーズナブルなお値段でそれができそうです。
クラフトビールブームも落ち着いて吉祥寺も店が飽和状態に、これから淘汰されていってしまうのかな?という感想を抱いていたのが数年前なのですが、棲み分けで根付いていってくれればそれにこしたことはありません。なにかと当たらない私の予想がいささか恥ずかしくもあり。広域吉祥寺圏のビールシーンはまだまだ元気です。
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