中央線の武蔵境駅。現在でこそ同じ武蔵野市内にある吉祥寺駅(JR東日本管内2016年乗車人員ランキング22位)、三鷹駅(同43位)と比べると目立たない駅に成り下がっている(同66位)印象がありますが、明治22年(1889年)に現在の中央線となる甲武鉄道が開業した当初の開業駅(境駅)として、最も長い歴史を誇っています。
武蔵境駅はまたターミナル駅として西武鉄道の多摩川線が乗り入れます。多摩川線の開業が丁度100年前の1917年10月22日であったということで、今年は駅構内で100周年を記念する展示を行ったりと、メモリアルイヤーを祝う催しが行われ、注目を集めています。いま、武蔵境がアツいはず。
ということで(ほとんど脈絡もありませんが)、武蔵境に今年新たにオープンした中央線高架下の地域プレーヤー協業施設、ond(オンド)を覗いてきました。
道の向かい側Cafe Sacaiの別館的存在?
そもそもこのondが開店すると言う情報は、複数のWEBメディアにプレスリリース的記事が出ていたために知ることとなったものです。近頃耳にすることが多くなった、一つのテナントを複数のオーナーが共同使用する協業施設とのことで、同じ武蔵野市内ではグリーンパーク商店街のMIDOLINO_などが思いつきますが、利用するオーナー達の活動ジャンルの内1つでも客の心に引っかかるところがあれば、実際店舗の中まで足を運んでもらえるといった強みがあるように思えます。私が興味を持ったのも、スペシャルティコーヒーやクラフトビールといったワードが引っかかったからですが、オーガニック総菜やIDEBOKソフトクリームといったワードが引っかかる人もいるでしょう。
実際現地に行ってみると、今回新しくオープンしたondと道を挟んで向かい合ったCafe Sacaiというカフェと店舗のデザインなどを共有しており、どうやらCafe Sacaiの別館的なイメージで開業したお店であるようでした。武蔵境に良く行く人にとっては、2014年にオープンしたCafe Sacaiがなんだか拡張したみたいだぞ、という程度に捉えられるニュースであったのかもしれません。
カウンター&カフェ&テラスなレイアウト
店内スペースは結構広めであるとはいえ、中に5種類の店舗が詰まっている、ということでスペース利用の工夫が見て取れます。入って左手のところにはカウンター飲食スペースがあり、後背にはカフェの機材、焙煎機、ソフトクリーム、ビアサーバーなどが控えております。また右手奥の方に行くとテーブル席があり、傍らのレジで焼菓子や総菜を買っていきそこで食べることが出来るようになっています。Cafe Sacaiを向かいに眺めるテラス席もあって、自由な愉しみ方ができそうですね。
スペシャルティコーヒーと、クラフトビールの26Kブルワリー
さて、私の目当てであるスペシャルティコーヒーと、クラフトビールについてはどうでしょうか。コーヒーは先程書いたようにカウンターバーの後ろで焙煎を行っており、Coffee philosophiaというブランドであるようです。武蔵境、三鷹や吉祥寺の店に広く豆を卸しており、吉祥寺の千恵蔵さんなどでも販売しているのだとか。2002年から調布市でトドロキ珈琲店という名称で営業されていた方らしく、スペシャリティコーヒーという旧来の呼び方をしているところに、ちょっとこだわりがあるのかと感じます(SCAJが日本スペシャルティコーヒー協会に改名したのは2003年。スペシャルティコーヒーについて書いた記事も参照してみて下さい)。コーヒーは袋詰めで買うことが出来る他、カウンターバーで淹れ方を指定して飲むことも出来ます。
クラフトビールの方は、現在醸造免許の取得中ということで、自家醸造のものをその場で飲めるようになるのは12月以降か来年か…といったところであるようです。もし自家醸造が始まったら、意外なことに武蔵野市内では初めてのクラフトビールになるとのことで、吉祥寺地ビールの歴史に新たな一歩が加わることになるかもしれません(”吉祥寺”ブランドを付けてくれるかはわかりませんが)。ちなみに店名の26Kブルワリーというのは、東京駅から武蔵境駅までの距離に由来しているそうです。
普段あまり武蔵境駅を使わない私にとっては、意外な位置に面白いお店がオープンしたなという印象だったのですが、駅からは離れるものの大学には近かったり、平日のオープン時間が9:00〜21:00と少し広めにとってあったりなど、様々なニーズを汲んだお店であるのかもしれません。武蔵境という街を、もう少々探索してみたくなってきたかも。
(2018.3追記)
クラフトビールの26Kブルワリー、とうとう醸造免許を取得して自家製ビールを提供するようになっていました。
第一弾ラインナップは、はつはなLPAと名付けられたライトペールエールです。味の方は総合的に見てまだまだこれから、といった感じですが、後味の余韻のあたりには日本人がとても好みそうな部分があり、武蔵野市で醸造するビールの可能性をしっかりと感じました。フルーツビールとか、武蔵野市名物を使ったウドビールとか、これからの展開を期待します。
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