最近吉祥寺界隈の飲食店で、『吉祥寺○○』や、『三鷹○○』といった名称のビールが提供されているのを見ることが多くなりました。たしか私が最初に見かけたのは吉祥寺IPAというビールであったと思うのですが、飲んでみたところ、それまで世に出ていた吉祥寺や三鷹周辺の地ビールを称する製品とは一線を画す、本格的なクラフトビールが出てきたなと感じたものです。
三鷹市に醸造所を作る予定?のCool air one Brewing
件の吉祥寺IPAをはじめとした地ビールを製造しているのは、Cool air one Brewingという醸造者で、今回紹介するビアバーのBeer cafe Camiyaや、三鷹のBeer bar Drunk batというお店の経営から、醸造事業へと展開した会社だそうです。とはいえ現状は、お店に醸造施設がくっついた西荻ビール工房のようなブルーパブスタイルをやっているわけではなく、あくまでコンセプトやレシピを定めたビールを全国の地ビール醸造所に委託し製造しているといった段階のようです。
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Facebookでの情報などによると、三鷹市内でブルーパブを開設しようと活動されているようで、現在三鷹市にある店舗Beer bar Drunk batに醸造所が付設されることになるのか、それとも完全に新規のブルーパブを開店されるのかは分かりませんが、もし醸造が始まれば注釈付きでない本当の吉祥寺三鷹地ビールを愉しむことができるようになるのではないでしょうか。
実は意外と存在する、吉祥寺や三鷹周辺の地ビール
記事の完全な余談となりますが、実はこれまでにも注釈付きの吉祥寺三鷹地ビールはいくつか存在していました。
深大寺ビール
まず、ホッピーの製造者であるホッピービバレッジによる地ビール、深大寺ビール。同社工場が調布市にある縁で、深大寺の名水と同水系の地下水で醸造をうたっています。深大寺の蕎麦屋で提供されているほか、同社調布ビールとともに調布市内の飲食店で広く提供されています。
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何故この深大寺ビールをここで紹介したのかというと、深大寺との地理的な近さなどもあり、三鷹市内の飲食店でもよく提供されていたのですね。まさにCool air one Brewingの『三鷹○○』名称のビールが現在入り込んでいるポジションにいた、先行者です。
爆音ビール
このビールが世に存在したこと、どこかで言及したいとずっと思っていました。今は亡き吉祥寺バウスシアターの館内で販売されていた、バウスシアターと爆音映画祭のために用意されたボトルビールです。中身は福生市の石川酒造が醸造する『多摩の恵』という地ビールなのですが、一応吉祥寺で初のご当地ビールということになるのではないでしょうか。
GREENING Ale
かなり最近のニュースになりますが、コピス吉祥寺が3月30日にリニューアルオープンしました。リニューアルオープンと、新キャッチフレーズ”GREENING”の宣伝で、『GREENING Ale』というボトルビールが配られていたようです。
こちらのビールは、原材料にコピス吉祥寺で汲み上げた地下水を使っており、醸造はいわて蔵ビールの世嬉の一酒造に委託しているものの、吉祥寺地ビールの要件を半分満たしていると言えるかもしれません。ただこのビールはコピスのオープンから4日間、5000円以上買い物をした方に限定配布という形で配られたので、実際どんなビールであったのか評判もほとんど残っていないのですよね。
といった感じに、吉祥寺三鷹周辺の地ビール事情は注釈付きばかりです。
吉祥寺の住宅街にあるBeer cafe Camiya
このCool air one Brewingのビールは樽生で店舗にも卸されています。吉祥寺三鷹周辺のビアバーであれば繋がっている可能性は比較的高いのですが、確実に出会うことを求めるならば、やはり冒頭で紹介した同ブルワーに関係ある2つのビアバーに赴いた方がよいでしょう。
その内今回紹介するBeer cafe Camiyaについては、Cool air one Brewing製のビールが繋がっているというだけにとどまらない個性があります。まず、店のある場所。吉祥寺駅を中心とした商業エリアから随分離れて、住宅街の中に店舗があります。
Beer cafeという名前のように、カフェであれば存在していてもおかしくない場所なのですが、まさかのビアバーです。賃貸アパートの1階部分をSreamyというケーキ屋と分け合うように入居しています。
こうした立地にあるので、ビール部分は味付け程度のオシャレな雰囲気を愉しむ店なのかと思いきや、生ビールのタップ数が8もあるので、意外とあなどれないラインナップが揃っていたりします。Cool air one Brewing製のビールは、大体1〜2タップが繋がっており、残りは大体半分くらいがIPA、フルーツ系ビールが1タップといった傾向があるように思えます(お店のFacebookでその日のラインナップがチェックできます)。
一番小さなフライトグラスであれば、大体一銘柄400円くらいから試すことが出来ます。またランチメニューも充実したお店なのですが、ランチのドリンクとして好きな銘柄のフライトグラスをつけることも出来ますので、何杯も飲むと深酔いしてしまうけれど、ビアバーに行ってビールを1〜2杯程度の注文だと気まずいし…という方にはうってつけのお店なのではないでしょうか。
料理は和食中心
ランチメニューが充実しているお店と書きましたが、その延長線上であるのか、料理が和食中心で取り揃えられています。和食メニューの充実ぶりは、最早ビアバーでもカフェでもなく定食屋なのではないかと錯覚してしまうほどなのですが、これはクラフトビールと一緒に愉しむ料理として、”だし”の効いた和食を提案したいというコンセプトがあるからだそうです。オープン当初からそのようなコンセプトがあったのか、それとも住宅街の中という場所柄、定食屋的営業との折衷案で産み出されたコンセプトなのかは分かりませんが、個性という面では面白く、吉祥寺駅からはるばる歩いて店を目指す価値は十分にあると思えます。
広域吉祥寺圏のビアバーもいつの間に増えたという感じがしますので、今後は各店の個性付けが重要になってくるかもしれません。吉祥寺三鷹発地ビールの立ち上げと両輪で大変かもしれませんが、是非頑張って続けていただきたいところ。
(2018.12追記)
2018年10月末で、こちらのお店は閉店してしまったようです。同じ事業者の方が三鷹市下連雀の方にブルーカフェcafe HOOOOPというお店をオープンされたようなので、そちらにリソースを集中するための撤退なのでしょう。定食屋のような個性が面白かったのですが、クラフトビールがブームになった結果定食屋でもクラフトビールを置くところが出てきたりもしているので、普及の役目をある程度果たしたということなのかもしれません。お疲れ様でした。
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