井の頭公園の井の頭池では、今年頭にかいぼりという池の水抜き&天日干しを行い、水質の抜本的な改善を目指しました。その成果は、既に伝えているとおり目に見えて現れています。
井の頭公園を題材として扱った古い写真・映像などを見ると、池がキラキラと輝いているものが多いのですが、かいぼりを期にこのキラキラが復活したように感じられます。写真を撮るのが楽しくなり、またボート池の利用者も、こころなしか増加しているように感じられます。
夏の終わりとともに悪臭が復活
ただ、水質の改善に感動できるのはボート池だけの話。七井橋より西側のお茶の水池では、水面にびっしりとアオコが浮かび、悪臭を放ち始めています。
お茶の水池(特にお茶の水橋付近)に池の浮遊物が集まり悪臭を放つのは、毎年恒例のことです。ただ、かいぼりが行われた今年以降はこの悪臭もなくなるものと認識していたために、恒例と言える光景を実際に目の当たりにするとがっかりしてしまいます。ボート池側が比較的綺麗なので、なおさら。
井の頭池の水質悪化の根本的な原因というのは、他の何でもなく浮遊物が滞留してしまう池の構造にあったのではないかとすら思えます。
アオコ浮遊は予測済みの事態なのか
かいぼりの成果やその後の経過などは、井の頭恩賜公園100年実行委員会の発行するかいぼり新聞などで確認することが出来ます。
井の頭恩賜公園100年実行委員会(ページ下部にかいぼり新聞のダウンロードリンクがあります)
そこにはかいぼり後の課題として、ブルーギルなどが依然発生していること、池底の泥の中で冬を越すアメリカザリガニの駆除が困難であること、ザリガニが繁殖した水草を切り取ってしまうことなどが挙げられています。しかしながら、依然お茶の水池側にアオコが溜まって悪臭を放っていることについては言及がないため、これが予測された事態であるのか、かいぼり後”復活”したとされる井の頭池においても、毎年の悪臭とは付き合っていかなければならないのかが分かりません。
また、かいぼり直後の現在でこそボート池側は綺麗ですが、こうしてお茶の水池側に溜まったアオコが数年後にボート池側の水質に影響をおよぼさないのか、そういった部分も気になるところですね。
来年以降は池全体のかいぼりに
来年以降には、まだ手が付けられていない弁天池のかいぼりも含めた、池全体のかいぼりが行われるでしょう。かいぼりの直後こそ綺麗だが…ということになってしまわないか、特定の季節だけに発生する水質汚染の原因(アオコや、春の桜の花びら、冬の落葉など)を加味した現実的な計画を立ててほしいところです。なにしろ田んぼやため池のかいぼりとは条件も異なるはずですから。
弁天池側を歩いていると、橋のたもとに鯉が集まって餌をねだっていました。
在来種以外を始末するというかいぼりの基準によりますと、この色とりどりの鯉を見られるのも後僅かということになりましょう。一匹の外来種鯉が、堰を超えてボート池側に逃げ出そうと試みているのが印象的でした。
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