吉祥寺駅南口を出てすぐ、井の頭通りを渋谷方面に二分ほど歩いたところに、古本よみた屋があります。店前面がガラス張りで、ブックセンターいとうのような古本チェーンに似た印象を受けますが、独立系の古書店です。
吉祥寺の古本屋と言えば、サブカルチャーや特定ジャンルに特化した小規模店舗の数が、いつの時代もそこそこあります。それに加えて、数年前まではたまに中小規模のチェーン店が出店して、目立たないながらひっそり営業するという情勢だった印象があります。
2003年にブックオフ吉祥寺駅南口店がオープンしてからは、中小規模チェーン店の新規出店は無くなり、撤退が目立つようになりました。またサンロードに古くから店を構えていたさかえ書房の閉店などもあり、古本屋業界における大手とニッチの二極化がはっきりしてきました。
そうした中、古本よみた屋さんは大手の古書店ほど体験感が希薄でなく、サブカルチャー・特定ジャンル系の書店より入りやすい、中立的なイメージがあるので、個人的によく利用させてもらっています。
お店には「おじいさんの本、買います!」というキャッチフレーズのとおり、個人の書斎をそのまま移設してきたような蔵書の偏りが見て取れ、それが新しい本との出会いのドキドキ感を演出します。CDを扱っているコーナーもあるのですが、ラインナップがあまり有名でないクラシックやジャズの作曲家に偏っていたりすると、元の所有者の人格を想像してしまい、つい微笑んでしまいます。
以前、パソコン関連の書籍が新品半額で大量に置かれていたということも、この古本屋に足しげく通う動機付けになりました。ブックオフと同等以下の値段ながら新品という比較優位が販売戦略だったのかもしれません。蔵書に似合わず若者の客が多いのも、こうした地道な戦略の積み重ねによるものかもしれませんね。
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