SAKE-YA西荻 マイロードにあるブルーパブ併設酒屋

アヒージョ、フィッシュ&チップス with ビール グルメ
アヒージョ、フィッシュ&チップス with ビール

店名は”SAKE-YA”と書いて”さかや”と読むそうですが、”さけや”としか呼ばれなさそうな気もしますね(”酒屋”と音が同じなので)。

SAKE-YA西荻

1994年に酒税法の改正があり、ビール製造免許を取るための年間最低製造量がぐんと引き下げられた結果起こったのが日本の地ビールブームですが、世紀の終わり2000年頃になるとブームはすっかり沈静化し、全国各地に生まれたご当地ビール製造者はほとんどが廃業してしまいます。その後地ビール業界は10年ほど雌伏の時代を経験しますが、2010年頃から地ビールはクラフトビールという新しい呼び名を得るとともに、北米のクラフトビールカルチャーの影響などもほどよく取り込みつつ息を吹き返し、現在に至ります。
そしてこの第二次ブーム以降新たに目にすることが多くなった営業形態が都市型のブルーパブで、市街地にある賃料もそこそこ高そうな物件にビールタンクを並べて贅沢にビールを醸造し、その場に併設されたパブでお客さんにも提供するスタイルです。

西荻にやってきた麦酒工房

第二次ブームによってそれまでビール醸造所とは無縁だった都会にもブルーパブがやってくるわけですが、それが現れ始めた当初はビール作りは空気も水も綺麗な田舎で行うものだと先入観がありましたから大層驚いたものです。
中央線沿線の民としてそれこそ最初のブルーパブとの出会いは、高円寺に出来た高円寺麦酒工房でした。2010年の終わりにできたこの店舗が中央線の駅を伝って阿佐ヶ谷、荻窪、中野と支店を広げ、西荻窪の麦酒工房は2015年にかつて西荻ロフトがあった建物に入居して営業を始めました。

元"西荻窪ロフト"物件 西荻ビール工房入居のため工事中
ライブハウス"新宿ロフト"が、1970年代には西荻窪にあり、"西荻窪ロフト"として営業していたという事実は、西荻通の方には常識であるかもしれません。ロフトの名称自体は1971年に千歳烏山にオープンした"烏山ロフト"が発祥ということになります...

この西荻麦酒工房はフロアがちょっとしたレストランのように広かったこともあり、クラフトビールファンが集まるお店というよりは地元のマダムや家族連れが利用したりする非常にジモティーなお店として西荻窪に溶け込んでおりましたが、惜しくも2018年に閉店してしまいました。

麦酒工房が柴田屋酒店の傘下に入って西荻に帰ってくる

こうしてわが街の醸造所を失ってしまった西荻ですが、その後意外な形で麦酒工房が帰ってきます。各街の麦酒工房を運営する株式会社麦酒企画が株式会社柴田屋酒店の傘下に入り、西荻窪駅に隣接したガード下商店街のマイロードにSAKE-YA西荻という名称のブルーパブ併設酒屋として帰ってきたのです。

SAKE-YA西荻店構え

SAKE-YA西荻店構え

ブルーパブ併設酒屋というと何のこっちゃという感じですが、ガード下物件の細長さを活かして冷蔵庫が並ぶ酒販エリア、テーブルが並ぶ飲食エリア、そしてカウンターと醸造を行うバックヤードというように様々な機能を持ったエリアが隣接し共存した店舗になっています。酒販エリアではボトルビール、日本酒、そして特に柴田屋が輸入した海外ワインを推しており、買ったボトルも追加費用を払えば飲食エリアに持ち込み料理と一緒に愉しめるそうです。こういう酒屋店舗とブルーパブがくっついた例として、有名なところでは十日町のTDM 1874 ブルワリーなどが思い浮かぶのですが、共通するのは卸酒屋として飲食店などの取引先が多数ある酒屋さんであること。自社の販路を使って作ったクラフトビールの売り込みができるし、クラフトビール醸造所を求めてやってくるアンテナの高いお客さんにはショールーム的に取り扱い商品のPRができるし、と意外に相乗効果が期待できるのかもしれません。

酒屋の併設バプということは、昼から開いている!

ごたくはともかく、このお店のパブとしての使い勝手はどうだろう?ということで言いますと、酒屋さんの併設なので休日平日を問わず昼から夜まで開いており、合法的に昼酒ができます(現在のカレンダーだと火曜日のみ夕方からになったようですが。詳細はお店のSNSなどを参考にしてください)。料理は揚げ物やソーセージなどビールのツマミ的なものが多いので、早い時間から開いている事を活かして0軒目や1軒目のお店として利用するべきなのかもしれません。

アヒージョ、フィッシュ&チップス with ビール

アヒージョ、フィッシュ&チップス with ビール

ビールのタップ数は10tapで、各地の麦酒工房から送られてきた都会製ビールを中心にいつも2tapほどはゲストビールを入れています。実のところこのSAKE-YA西荻自体の醸造量がそれほど多くないからなのか、西荻で作られたご当地ビールは隅から隅まで全種類制覇してやる!と思って行くと1〜2種類かタイミングが悪いと全く繋がっていないなど、西荻麦酒工房時代と同じ地元ビール応援というスタンスで行くと肩透かしを喰らうかもしれません。

ただ、前身の西荻麦酒工房が撤退する際のメッセージでも”一旦閉店”と書かれていたように、この西荻窪にお店があり醸造もしているということを重要視してくれている感がありますので、地元支援のため、という大義名分を持って堂々と昼ビールに勤しみましょう。

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