師走ですね。年越しを迎えるため、諸々の準備はいかかがでしょうか。
武蔵野市では毎冬、市内の中央線3駅の駅前に電飾イルミネーションを設置して、冬のイベントの雰囲気を盛り上げています。三鷹駅・武蔵境駅前のイルミネーションは至極一般的なイルミネーションなのですが、吉祥寺駅前広場のそれは、毎年何かしら趣向を凝らし、オリジナリティを感じさせるものになっています。どうも前年までの評判を覆そうと頑張っているところが伝わってくるのですが、それでも毎年「吉祥寺駅前のイルミネーションはデザインがイマイチ」という評判をもらっているような気がします(笑)。
吉祥寺駅前広場イルミネーション2014
吉祥寺駅前広場イルミネーション2013
今年はアニメーターの森本晃司氏にデザイン依頼
今年度は例年のオリジナリティ発露路線をやめて、デザインの専門家にイルミネーションの依頼をしたようです。白羽の矢が立てられたのは、吉祥寺に深い縁のあるアニメーション作家の森本晃司氏。森本晃司氏は『AKIRA』の設定・作画監督補、『MEMORIES -彼女の想いで-MAGNETIC ROSE』『音響生命体ノイズマン』の監督として有名なクリエイター。世界的知名度があり、2010年にフランス政府の禁煙広告キャンペーンのため制作されたアニメーション広告で、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルのサイバー部門銀賞を受賞しています。
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森本晃司作品と吉祥寺
吉祥寺の街は、森本氏の作品の舞台として登場することもあります。『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟がアニメーション作家を集めて作らせたオムニバス作品『アニマトリックス』。森本氏はその中の『Beyond』というエピソードを担当していますが、その舞台が吉祥寺と言われています(なにしろ、幻の吉祥寺ナンバーをつけた車両も登場します)。また、彼の名を国際的に一躍有名にしたテクノアーティストKEN ISHIIの『EXTRA』ミュージッククリップ。その映像の舞台がハモニカ横丁です。
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『EXTRA』のミュージッククリップも含め、音楽PV等は森本氏のHPからフルで見ることが出来ますね。
今年のイルミネーションの印象は…
森本氏の映像作品では、テクノアーティストの曲が奏でられ、激しい光の点滅を伴ったりという表現が特徴として目立ちます。ミニマリスティックな構造物を(人混み、画一的な建物など)かき分けていく表現も多く使われます。
そうした氏の世界観を再現するためか、今年の吉祥寺駅前広場イルミネーションでは毎時0分と30分に音と光によるスペシャル演出が行われる段取りとなっています。そして舞台となるイルミネーション自体はとてもミニマリスティック。
いまだスペシャル演出の行われる時間に居合わせたことがないので評価は保留なのですが、シンプル過ぎてデザインの専門家が関わっていることに気付かないイルミネーションのように思います。斜め上から見下ろした写真では華やかな印象も感じられるので、地上目線で通行人が楽しむアートではないのかもしれません。そこには空間を自由に動くカメラを想定できる映像作家の目が必要なのかも。
アニメーションと言えば、上の写真もそうですが広場内の街路灯が中心にくる位置で見ると、街路灯を頭としたロボットのように見えないこともありません。武蔵野市なだけに、ジブリ作品のロボット兵のオマージュなのかなと最初感じたのはここだけの話。
(2015.12追記)
広場のデザインを折角アーティストに依頼しても、それがどう運用されるのかは、結局発注した行政側のセンスに依存するわけです。
広場内に、警視庁による年末防犯キャンペーンの詰所テントが設置されていました。提灯がとっても和風です。奥のスペースも警察車両の駐車場と化していて、吉祥寺とミニマルデザインの相性の悪さというか、吉祥寺人には空間が雑然としていないと落ち着かない性分でもあるのかなと感じたのでした。
森本氏とは3年間の契約で駅前イルミネーションを依頼しているということ。来年再来年のイルミネーションは、センスのかけらもない雑多なモノ達に次第に浸食されていくことを想定したデザインにした方が良さそうです。
コメント
吉祥寺は道路側の正面から夜見ると綺麗だけど、駅のロータリーからだと綺麗に見えないよね。みんなが見るのはロータリーからだから、ロータリーから綺麗に見えないと無意味なものになったしまうね。これぞ税金の無駄遣い。商店街の人から苦情が出ていないのかな?
吉祥寺駅の改装工事で数年間も駅舎がサイボーグ状態だったことを考えると、外から吉祥寺にやってくる人への玄関口を魅力的にしたい、という思いはあまり無いのかもしれないですね。
他の街との競争の中で努力してたどり着いた、”住みたい街ナンバーワン”の座でないということは、吉祥寺住民に共通する吉祥寺観のように思います。それだけに、ナンバーワンの座に甘えている街という印象を産み出し、吉祥寺アンチ、吉祥寺下ろしといった風潮を作り出し易いのかも。でもそれも自業自得であり、耳を傾けるべき批判も多いのだろうと思います。
テレビで吉祥寺特集があるたびに、吉祥寺駅を撮影するアングルに苦慮しているのが見て取れますね(笑)。