善福寺公園をメイン会場として、毎年秋に行われる野外アートの展示会、トロールの森。2002年から行われ14回目を迎えるこの催しが、今年も11月3日(火・祝)から11月23日(月・祝)まで公園と街中をジャックしていました。
街を巻き込むようになったトロールの森
トロールの森というイベントの存在については、当サイトでかつて言及したことがあります。基本秋に行われるトロールの森が、子供の日を含む5月連休に”春展”としてプチ開催され、地域の小学生の手によるアートが公園内に現れる、そんな話でした。
秋のトロールの森はそれより大規模な、大人アーティスト達による本気のトロールの森です。作品は善福寺公園内に展示され、善福寺池のカモ達と同じく、かなりの距離まで近付いて楽しむ事が出来ます。
そして、今年2015年のトロールの森では、会場を善福寺公園だけでなく西荻窪駅に続く商店街にも拡大し、街を挙げてのイベントとなりました。西荻窪という街の挙動がメディアに取り上げられることも多くなったからでしょうか。これを機会に、善福寺公園という素晴らしい公園についても知れ渡って欲しいものです。
下の池側から散策しましょう
善福寺公園には道路を挟んで上の池と下の池があり、今回作品が展示されているのは上の池側です。西荻窪駅から善福寺川を遡上していくと下の池側にぶつかりますので、まずは晩秋の善福寺公園をアートなしで堪能しましょうか。
以前アートを発見した林の中に、今回はアートがありません。アートは神出鬼没なものと決まっています。
上の池に”アート”を探す
さて横断歩道を渡って、上の池側に。トロールの森が開催中でも、普段よりそこまで来園者が多い印象は受けませんでした。
井荻村の恩人、内田秀五郎像の側で、一つ目のアートに遭遇しました。自然に溶け込んでいる作品は、立て看板が無ければアートとは気付きません。
落ち葉やどんぐりを、鑑賞者がバスケットの中に投げ込めるようになっています。こういう参加型のアートって、最初は空っぽの状態でなく、既に参加した人が居るように偽装するのかしら。梯子のアートは、それを登ってくれるジョンレノンがいて初めて成立します。
次に見つけたアート。対岸にカラフルな舟を並べています。実用上色を揃えて並べるという操作は必要としないのに、つい揃えてみようと気をおこしてしまうのです。
そして次のアートは、少しキモカワを狙ったような作品。
池の周囲には、ぐるりと取り囲むようにキャンバスが並べられていました。アート作品なのか、誰かの描きかけの絵なのか判別がつかず、じっくりと覗いて失礼にならないかためらってしまう。
樹々の合間に、次のアートが見えてきました。
次なるアートは、先程のバスケット作品の2番煎じ。でもこちらは参加者が多いようです。
ああきっとあれもアートでしょう。
自然石だそうです。
不自然に枝分かれして、すぐに終わってしまう道。考えさせられます。
うずたかく積まれた落葉。武者返しみたいです。
ローマ街道が突然終わります。
落ち葉のはけ方もアートです。
どうしてそこに作ったの?と思えるような生け簀。
最も心を打たれたのは、市杵嶋神社の裏手にあったこの光景。
段々とアートを感じようとする感覚が研ぎすまされていくのを感じます。
こちらの作品は広報等でよく取り上げられていました。
アイアン・メイデンを思い浮かべるような参加型作品。
暗号”HKYI”。”ハッケヨイ”くらいしか思い当たらない。
先に紹介した池の周囲に配置された作品。野外に置かれているということで、鳥の糞を受けて”完成”していました。
野外アートの醍醐味は、アートとの突然の遭遇に身構えることです。日常という額縁の中に収めようとする意識を切って接すること。
上に紹介したアートの内のいくつかは、トロールの森の開催期間が終わっても展示され続けているかもしれませんね。
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