石神井公園には、人の流れも早く動的なイメージがある石神井池と、まさに動かぬ沼といった静的なイメージの三宝寺池があります。冬にこの静的な三宝寺池を散歩すれば、冬の空色が動かぬ水面に反射し、陰鬱な気分を煽りたてるでしょう。あるいは、勝利も敗北もない孤独なレースを思い浮かべてしまうかもしれません。
そんな三宝寺池も、夏になれば対照的な、賑やかな貌を見せてくれます。武蔵野の自然をそのまま保存している三宝寺池沼沢植物群落では、本当に様々な種類の植物が、お互いに折り重なり、寄りかかり生きている姿を見ることができます。人工公園の樹木にはない特徴ですが、そうした光景を堪能するべく初夏の三宝寺池に足を運びました。
沼沢植物の観察には、出来るだけ生態系に影響を与えぬよう渡されたウッドデッキを渡ります。少々広めに作ってあるデッキは、人がすれ違うことは勿論、デッキに座り込んで小休止するにも充分な幅があります。丁度デッキの上に樹木が生い茂っているので、木陰で涼んだり、写真の撮影をするにも適した場所です。
池にはびっしりと睡蓮が広がっています。6月くらいになれば、この睡蓮が一斉に花を咲かせるはずです。
奥に見えるのは、藤の花。都会で藤棚になっていない藤を見られるのは貴重ですね。
傍らの植物にネームプレートがつけられています。おそらく見たこともない植物が沢山あると思いますので、見識を広げるのにもってこいです。
デッキの岐路から三宝寺池の南岸側に回ります。
池の南側の岸を歩くと、三宝寺池の3つの神社が見えてきます。今回は紹介を割愛して、改めて記事にしましょう。
こうして歩いてみると、夏の三宝寺池に陰鬱さは感じられず、植物が賑やかすぎるくらいです。沼沢群の光景は、誰もが心の原風景に持っていそうな、手入れのされていない子供の遊び場の雰囲気を醸し出していますね。
石神井公園に陰陽あり。魔境はやはり一筋縄ではいかないということなのでした。
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