西荻窪　中国料理　仙ノ孫

来る2月1日（土）に、テレビ東京の街紹介番組『アド街ック天国』で西荻窪が10年ぶりに紹介されるということは、キッチンキャロットの閉店を惜しむ記事で触れました。10年の歳月を経て、街のランキングで紹介される店の顔ぶれにも、多少の入れ替わりがあるものと思われます（まあ、”多少”という表現になるのは、どうせ常連店が上位ではないかというひねくれた勘繰りです）。

そこで、便乗する下心あっての事ですが（笑）、ランキングで確実に新登場するのではないかと思われる店を、予想がてらプッシュさせていただこうと思います。西荻窪で一番オススメの中華料理店、「仙ノ孫」です。

仙ノ孫の基本情報

仙ノ孫があるのは、西荻窪駅北口を出て、左手交番横のゲートをくぐった通りのつきあたり付近。この通りは、伏見通り商店街として始まるのですが、途中で脈絡なく一番街商店街という商店街に変わってしまいますので、仙ノ孫は一番街商店街の端っこに位置しているということになります。駅からは7、8分程度、街の中心部の喧噪から離れた落ち着いたロケーションですが、お店の外観もどことなく上品です。

仙ノ孫　外観

外観のみならず、内装も洒落ています。店内所々にアクセント的に飾られている中華的な小物。よく見ると乾燥ナマコや調味料が入ったような小瓶も飾られています。
店が営業しているのは、ランチタイムの12:00〜14:30（L.O.14:00）と夜の18:00〜22:00（L.O.21:00）。ランチタイムはお手頃な値段で本格的な医食同源料理に巡り会えるのでオススメです。

仙ノ孫の料理の特徴

そう、このお店のメニューの特徴ですが、医食同源をモットーとした、化学調味料不使用、漢方を含んだ数々のスパイスと素材で味を構成する料理ばかりです。また、料理に使われる野菜はオーナーシェフの御祖父母が大分県で営む畑で採れた有機野菜だそうです。実は、御祖父母が以前西荻窪のこの場所で「八百仙」という八百屋をやっていたそうで、そんなこともあって店名「仙ノ孫」が決まったとか。

お店が出すのは四川料理。ということで、鷹の爪や辣油がたっぷり使われた、辛みのある料理が名物となっています。ディナーメニューの四川火鍋、小皿料理のよだれ鶏（口水鶏）、麻婆豆腐。どの料理も食欲をそそる赤色をしています。

ランチメニューがお得！

そんな本格的な中華を、ランチタイムにも手軽に楽しめます。麻婆豆腐セットは、スープ・お新香付きライスおかわり自由で1000円。麻婆豆腐を別の料理に替えた、週替りのセットメニューもあるようです。
1400円のランチセットは、前菜2品と薬膳スープがついてきます。前菜は大分県の野菜を前面に出した、セットメニューながら隙のないもの。薬膳スープは、さすが薬膳を看板に掲げるだけのことはある、本格的なものです。鶏ベースの味が滋味に富む。
ランチセットのメイン料理として、担々麺とあんかけ焼きそばを試した事があります。担々麺はごまの香りと程よく抑えられた辛み、さすが中華料理屋の担々麺と感じる部分があります。あんかけ焼きそばは、野菜が主役になっていて非常に面白い。

総評

冒頭に書いた通り、西荻窪の中華料理屋として最もオススメなのが、仙ノ孫です。中華料理の技術が非常に高レベルであり、西荻窪近辺に住んでいてこの店の四川料理・薬膳料理に挑戦しないのは損です。

一方で、5点満点で6点を叩き出すような料理にはまだ出会えていないというところで、これからに期待したいという心情も少しあります。このお店のテーマとして化学調味料を使用しないということと、大分県産の有機野菜を味わってほしいというものがまずあるのでしょう。ランチメニューの麺類では、化学調味料不使用ゆえの、器の底に到達する頃の味のマンネリ化が気になります（まあ、がっつかずにゆっくり食べれば良いのですけれどね）。また、有機野菜を使っているメニューでは、主役の野菜の味を目立たせるように味が整えられているため、このお店でしか会えない料理という個性は獲得しているものの、純粋に料理人の技術の高さを楽しみたいという客にとっては、肩すかしをくらってしまう部分がなきにしもあらずです。そういった意味で、店の持つこだわりによるハンディを乗り越えて、都内の他の有名中華料理店を軽く凌駕する”6点”の料理を期待したいのです。

それでも、仙ノ孫には電車を乗り継いで、駅から7、8分歩いて食べにくる価値があると思います。非常に有名な洋菓子店、アテスウェイからそれほど離れていない店なのですが、アテスウェイが吉祥寺西荻窪のレベルから抜けているのと同じように、仙ノ孫も抜けている店だと言って良いのではないでしょうか。