西荻窪駅の南口を出て、中央線ガードレールの傍らを荻窪方面に向かう道。この道は平和通りといい、業種のバラバラな小規模店舗が狭そうに立ちならぶ、再開発なき西荻窪を象徴するような商店街です。
商店の業種は様々なれど、商店街の店構えにおける共通言語とばかりに、テント生地に直接店名を書いて店の看板としているケースが目立ちます。どのテントも年月を経てくすんだ色をしており、この古くささが気にくわない、不潔だという方もいると思いますが、むしろこれを味であると感じる方もいらっしゃるでしょう。
「雨と休日」雨がテーマのセレクトCD店
そうした店舗のならびに、やはりくすんだ色のテントに店名を書いたCD店がありました。遠目には風景に埋没してしまっていたのですが、目の前を通りかかると、ガラス越しの店内に陶芸作品のように整然と並べられたCDジャケットの数々を見ることが出来、思わず立ち止まってしまうものでした。
「雨と休日」という名前のこのお店。かつて大手CDショップに勤められていた店主が、雨の日に聴きたくなるような穏やかな曲ばかりを集めたセレクトCD店をやりたい、ということで、2009年に西荻窪で始められたお店でした。
実店舗は閉店も近辺で再出店を検討中とのこと
取り扱いラインナップを見ると、見たことも聞いたこともない、珍しいアーティストのCDばかり。勿論どのCDも視聴可能で、コメントPOPが雄弁に商品を紹介してくれていました。CDショップの醍醐味である、新しい音楽との”出会い”部分だけを凝縮した店ということで、ダウンロード販売が主流となりCDセールスが押されつつあると言われる時代に、大手CDショップが解体し、なるほどこういった店が増えてくるのもおかしくないと感じたものでした。
残念ながら、建物オーナー側の都合により同じ場所での営業が続けられなくなったため、2014年内で一旦閉店となってしまいました。それでも、店のブログによれば、今後は通販業務を継続しつつ、近日中に西荻窪近辺での再出店を目指されているということです。
冒頭のくだりで書いたとおり、西荻窪の街の風景に妙にはまっていたと思えるお店。西荻窪の人気店あるあるである、西荻内転居を果たし、ぜひ返り咲いてほしいものです。
(2015.6追記)
雨と休日のブログ記事によれば、都内での移転再オープンについては一旦見送りとされるようです。
大手CDショップからエクソダスしたスタッフ達が、西荻窪にそれぞれセレクトCDショップを開いて、ゆくゆくは本の街ヘイ・オン・ワイのようにならないかなと夢想していたのですが、残念。
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